まずは、おさらい。押さえておきたい「難解の源」
*統一規格が無い!携帯プレーヤーは、各社が各様に開発しているため、基準となる統一規格が存在しません。よって、異なるメーカー間での互換性は期待できません。大別すると、二強のアップルとソニー、そして東芝などのWindows Media系の3種となり、これらは使用する圧縮方式やDRM(著作権保護技術)が異なります。例えば、アップルの「iPod」を利用し、同社の管理ソフト「iTunes」で音楽データのライブラリ化をしてきた人は、ソニーの「WALKMAN」に乗り換えるのは困難ですし、その逆もまた然りです。手持ちのCDからデータを作成するなら、一からリッピングをやり直すこともできますが、ネットで購入した各メーカー専用形式の映像や音楽は、ネックとなってしまいます。ちなみに、東芝などの、Windows Mediaを利用するメーカー相互の間では、乗り換えが容易です。
*配信サイトで制限される携帯プレーヤーメーカー
音楽データを配信する各サイトによって、ダウンロードできるコンテンツは異なります。また、配信サービスとメーカーは「一対」になっているので、要注意です。例えば、アップルの「iTunes Store」で入手したコンテンツは、「iPod」以外では利用できません。コンテンツをダウンロードで入手するつもりなら、まず、自分が欲しいコンテンツを提供している配信サービスを確認し、それに対応した機器の中から選ぶのが正解です。
*基本的にPC(パソコン)が必要
映像や音楽コンテンツを用意し、携帯プレーヤーへ転送するためには、基本的に一度PCを介する必要があります。また、PC上で動作するアプリケーションも各社各様で、互換性が乏しいのも現実です。なお、最近では、ネット配信に対応した据置型コンポとの組み合わせや、直接配信を受けられる携帯プレーヤーも登場し、PCレス化の兆しも見えています。
知っておきたい、「実は重要な仕様」
*ギャップレス再生クラシックやライブを録音したCDでは、曲番号で区切られた曲と曲の間に無音部分がなく、連続して再生する仕様のディスクもあります。ところが、携帯プレーヤーに転送すると、特に格安の製品において、一瞬「無音」が入ってしまうものが多く、興ざめさせられます。製品選びの際は、ギャップレス再生をキーワードに確認するとよいでしょう。
*PCソフトの使いやすさ
PCでコンテンツを制作、管理、転送するためのソフトについても検討すべきです。中には、映像と音楽で違うソフトを使う製品もあります。コンテンツのダウンロードの際に用いるインターフェースの使いやすさや、ライブラリ管理のしやすさが、「自分に合っているか」、「直感的に使えそうか」、できれば実際に触れてチェックしておきたいところです。
*表示画面の明るさとダイレクト調整
日中、屋外で使用するなら、画面は明るいほうが有利です。動画を見るなら、なおさらです。また、周辺の明るさも刻々と変化するので、ダイレクト調整や自動調光など、明るさを調整できる機能があると便利です。電池を長持ちさせるためにも、有用です。
* 充電の速さ
電池の大容量や長時間再生をうたっていても、充電に時間がかかると使いづらいものです。通勤や通学で使うなら、5分程度で一日の使用に十分な充電ができる製品が重宝します。
カタログのトリックはここだ
動画再生機能が売りの昨今の携帯プレーヤーですが、多くはMPEG-4、H.264、WMVなど、限られた映像フォーマットしか利用できないなど、多くの制約がつきまといます。また、DVDで用いるMPEG-2や、その他の形式のファイルは、動画変換ソフトを利用して、手作業で形式変換をしなくてはならないのが実情です。ソフトにもよりますが、変換には、動画ファイルの実再生時間の3分の1から2倍の時間がかかり、とても不便です。予想外の作業が発生しないよう、録画時に工夫できるソフトかどうか、検討しましょう。完成度はどれぐらい?
動画再生も標準的となり、メモリー価格の劇的な低下もあって、買いやすくなりました。完成度は100%といってよいでしょう。HDD(ハードディスクドライブ)タイプは重いかもしれませんが、データ容量が大きい動画を保存するには、メモリータイプに比べてコストパフォーマンスが高い利点があります。今後は、無線通信機能を利用して、コンテンツをネット経由で直接ダウンロードできるプレーヤーが増える見込みです。ワンセグの試聴や録画が可能なタイプも、価格の低下が期待でき、注目度が増すでしょう。注意したいのは、バッテリーの持ち時間。数十時間、数百時間といった再生時間をうたう製品が多い半面、わずか数十回の繰りかえし充電で、バッテリーが劣化し、期待通りの持続性能が得られなくなるケースも少なくありません。信頼できるメーカーの製品や、交換が安価で容易なもの、単三・単四などの一次電池、二次電池が使える製品を選ぶのも一案です。MP3プレーヤー
MP3:MPEG-1 Audio Layer-3という音声圧縮方式を使った小型の携帯プレーヤー。高い圧縮効率のため数千曲ものデータを収められ、またネットなどでのデータ転送も簡便であることから、現在の主流となっている。
リッピング
音楽CDなどから、そのデータをパソコンに取り込む操作。
ワンセグ
地上デジタル放送を携帯電話などの移動体で簡易受信するサービス。