何事もなければそれに越したことはないが、万が一何かが起きてしまったら……。現在は、いつ「第2の天安門事件」が起こっても不思議でない状況ともいえる。では、出発から帰国まで、これらの事件・事故にどんな準備をしたらよいか、実際面ではどのように対応したらいいか、あらかじめ知っておけば安心して中国旅行を満喫できるはずだ。
上手な海外旅行保険のかけ方
旅行中は何が発生するかわからない。中国での入院費や治療費は「外国人特別料金」がかかり、決して安くない。したがって、海外旅行保険はもっとも頼りになる存在。ぜひ加入を薦めたい。問題は「クレジット・カード付帯海外旅行保険」。中身を事前にチェックしよう。補償額も少ないのが一般的。加えて、中国では航空機遅延がよく起こるが、この「遅延費用」は対象外なので、できれば任意の「上乗せ保険」をどうぞ。
「頼りになる旅行会社の選択」と「中国ツアー&ホテルの上手な選び方」
いざとなったら、旅行会社は意外と頼りになる。これは「日系旅行会社」と「中国系旅行会社」の2種類に大別できる。前者のチェック項目は、(1)中国の特殊業務経験が豊富で、事故・事件の際に機動力を発揮してくれるか、(2)中国に自社のオフィスを持っているか、またはそれに近い契約の中国側旅行社があるか。現地オフィスを持つ場合、大使館・領事館、中国政府・国家観光局、航空会社等へのコネクションもあり、影響力も強い。
後者の「中国系旅行会社」では、複数の都市への旅行には、規模の大きい自社ネットワークを持つ旅行会社を選ぶことが望ましい。
次に、「中国ツアーの選び方」。今回の旅行は「格安航空券+ホテル」か、または、「旅行会社主催の『中抜き』パッケージ・ツアー(往復航空券+ホテル、一部バスを含む)」か。両者の長所・短所をよく比較しておこう! 現下の事故・事件が続いた中国では、なるべく後者の掘り出し物を探そう! なぜならば、テロや暴動などが起きたときには、旅行会社の「主催者責任」に頼る部分が大きいからだ。ある程度これに依拠しつつ、旅行者自身のサバイバル作戦で不備をカバーするのが得策だろう。また、病気などによる直前の帰国日変更なども無料の場合が多い。これは、格安航空券では全く期待できない。
そして「ホテル選択」だが、日本人旅行者の泊まるホテルは、デラックス(5ツ星)からエコノミー(3ツ星)のグレードまでが一般的だ。この場合、エコノミーの上級部屋を選ぶより、デラックスの下級部屋を選ぶのがコツ。治安・安全面、サービス面、病気の際のドクター手配などを考慮すれば、デラックスホテルに軍配が上がる。また、最近、急増の「外資系スタンダードホテル」(3ツ星)もお薦め。
中国旅行必携:ガイドブック、トラベラーズ・チェック、生活用品etc.
ガイドブック:最新版の購入を! オリンピックを機にかなり道路や建物が変更されている。肝心なのは、緊急時の連絡先(電話番号)と場所(病院、公安、大使館・領事館)などが最新情報かどうかだ。また、北京や上海など1カ所のみの旅行でも、「中国全土版」と「各都市版」両種のガイドブックを持参しよう! 中国全土版だけでは緊急事態の際に役立つ詳細な地図も少なく、使い物にならない。他方、緊急事態(例えば悪天候やテロなどに遭遇した航空機)で他都市に緊急着陸するケースがあり、このような場合一都市だけの版では、全く対策が立てられない。加えて、現地到着後、中国語版の各都市最新地図をぜひ購入しておきたい。デモやテロなどの際には、大通りは遮断される。したがって細い裏通りを迂回し目的地に行くしかない。これは筆者がかつて「天安門事件」に遭遇して得た教訓である。トラベラーズ・チェック&クレジット・カード:盗難予防として、クレジット・カードやトラベラーズ・チェックの持参を。しかし、天安門事件クラスに進展しそうな状況の場合、「キャッシュ」に替えておこう。それも「米ドル」で! 衰えたりとはいえ、いまだ円と比較すれば流通性はかなり高い。
常備薬:病気に備え、使い慣れた常備薬(風邪薬、鎮痛剤、下痢止めなど)の持参を。初めての薬は、かえって体調を崩すこともある。
中国人の友人用に土産を
短期旅行でも、中国人と知り合いになる機会はある。そんな知人が、いざという時にあなたを助けてくれるはずだ。お土産の準備をしておこう。高級和菓子のような日本ならではのものや、ファッション誌など最新の日本情報を伝えるものが喜ばれる。(次回は「滞在中の心得」について述べる。)