どう選ぶ? なじんだメディアと新しいメディア
撮影したデータを記録する記憶媒体の種類によって、使い勝手や特長が大きく異なります。特にHDD(ハードディスクドライブ)や各種の半導体メモリーは新しい機能だけに、それぞれの長所や短所を把握しておきましょう。まずHDDは、メディアの交換が不要で、長時間の記録とコンパクトさを両立できる点で人気です。半面、撮影後は、映像をDVDなど他のメディアへダビングする必要があるのが難点です。メモリータイプはHDDを上回るコンパクトさが最大の特長で、もちろん交換も可能ですが、大容量のメモリーカードは高価で、撮影時間も比較的短めです。BD(ブルーレイディスク)やDVDなどのディスクメディアに記録するディスクタイプは、本体が大きくなりがちで、撮影時間も短いのですが、メディアが比較的安価で、撮影後、家庭のプレーヤーですぐに再生できるため、機械が苦手な方には便利でしょう。テープは記録メディアとして最も安価ですが、フルHD録画ができないこと、撮影した映像の高速転送が苦手なことなど、技術的な限界が見えはじめ、家庭用機器ではごく少数派になっています。最新H.264はMPEG-2よりも高画質?
H.264とは、MPEG-2と同レベルの画質を保ちつつ、同じ記憶容量で約4倍もの撮影が可能となる、高度な圧縮規格です。MPEG-4と技術的に同様であるため、H.264/MPEG-4AVCと並記されることもあります。特に、容量の限られるメモリータイプでフルHD撮影をする際には欠かせない機能といえ、パナソニックとソニーはこれをビデオムービーのための仕様にまとめ、「AVCHD」の名称を与えています。ただし、まだ開発途上なため、メーカーによっては、動きの多い映像でブロックノイズやモスキートノイズが目立つこともあります。HDDを搭載した機種などで、容量を気にせずに画質を最優先とするなら、実は、まだMPEG-2が有利なのです。二極化が進む。ハイテクの結晶
昨今のビデオムービーは、全体的に小型化の傾向がありますが、大まかには、ポケットサイズの「超コンパクトサイズ」と、「手のひらサイズ」とに二分できます。しかしながら、最終的な画質は、実はレンズが決め手となります。レンズの性能は、大きさや使う枚数などに基づくため、超コンパクト機は画質面で不利と心得ましょう。光の像を電気信号に変換する撮像素子には「CMOS」と「CCD」の二つがあり、長年、CCDの方が高性能といわれてきましたが、今ではCMOSも改良されて、画質面で遜色はありません。最近のHD(ハイビジョン)タイプに至っては、バッテリーを長持ちさせる観点からも、消費電力の低いCMOSが主流になっています。もはや、CCDにこだわる必要はどこにもありません。
画質でいえば、「HD(ハイビジョン)画質」が標準的となりましたが、「SD(標準)画質」だって、用途によっては活躍します。例えば、「YouTube」などの動画共有サイトへ投稿する場合なら、SD画質で十分でしょう。録画データの量も少ないので、同じ容量のメモリーでも、より長い時間撮影できますし、編集や投稿の際もスピーディーです。
ハイビジョン時代の今、ムービーのポジションは?
動画の緻密さ、色の再現性などといった総合的な画質は、レンズ、撮像素子、膨大な映像データを処理する映像エンジンや圧縮方式によって決まります。また、録画するビットレートが大きいほどデータサイズは大きくなりますが、高画質が期待できます。画質にとことんこだわるなら、最高録画ビットレートが大きい製品に注目しましょう。また、カタログ上で「フルHD(1920×1080画素)」と称していても、これが「撮影時」ではなく「記憶媒体への記録時」の解像度であることもあります。撮影素子の画素数が1920×1080より少ないにもかかわらず、記憶媒体に記録するときに信号を補完して1920×1080画素に水増しするものもあるので、注意が必要です。また、最高画質撮影モード以外では、データ量を節約するために1440×1080画素で記録する製品も多くあります。購入の際は、「撮影が1920×1080」なのか、「記録が1920×1080」なのか、チェックしましょう。
ポイントはまだまだあります。後編へ
今回の前編では、基本機能に関するトレンドと、それぞれの特長や短所を解説しました。後編では、撮影時や撮影後など、実際の使用シーンを想定し、製品の選び方を解説していきますのでお楽しみに!フルHD
full high definition ハイビジョン映像の中でも、1920×1080という最大の画素数となる、最も高い解像度をもつ方式。
MPEG-2
現行のDVDやハイビジョン放送に用いられている、映像・音声の圧縮方式。MPEGはMoving Picture Expert Groupという組織名に由来。
ブロックノイズ
block noise 圧縮された映像データを再生する際、夕焼け空など模様のないグラデーションの範囲や、水の流れのような細かく速く動くものが、タイル状に分割されたモザイク状の映像になってしまうこと。
モスキートノイズ
mosquito noise 圧縮された映像データを再生する際、アニメーションのように輪郭のはっきりとした絵や文字の周りに、蚊がまとわりついたような模様が現れること。
ビットレート
bit rate ある時間の単位の中で、どれだけのビットを使用するかを表す。通常は1秒の単位で表し、bps : bit per second の単位を使う。