6月の3連戦が勝負のヤマ
2011年9月から12年3月にかけて行われた3次予選を勝ち抜いた10チームが出場するアジア最終予選。アジアに与えられた出場枠4.5は、5チームずつ2組に分かれてのホームアンドアウェー形式で争われる。それぞれの組で2位に入れば出場権獲得。3位同士の対戦の勝者が南米5位のチームとの最終プレーオフに臨むことになる。アジア最終予選は6月3日(日)にスタート、全10節が終了するのは来年の6月18日(火)となる。といっても、10節中6節は今年6月と来年6月に3節ずつ行われ、残りは今年9月、10月、11月、そして来年の3月に1節ずつ。
日本は、オーストラリア、イラク、ヨルダン、オマーンとともにB組。奇数チームによるリーグ戦では各節1チームが休みになるが、それがどこに入るかで運不運が生じる。B組では、イラクが日程的に有利に見える。今年6月の3試合は10日間で行われ、試合と試合の間が最も短い。イラクはその真ん中の第2節が休みとなっているのだ。
イラクは第1節(6月3日)にアウェーでヨルダンと対戦し、第2節(6月8日)は休みで、第3節(6月12日)にはホームにオマーンを迎える。オマーンは第1節日本(アウェー)、第2節オーストラリア(ホーム)と強豪との連戦をこなした後、中3日でイラクとのアウェーゲームをこなさなければならない。
日本のアドバンテージは第1節、第2節と連続してホームで戦うことができる点にある。相手はオマーン(6月3日)とヨルダン(8日)。連勝スタートとなれば、第3節、アウェー(ブリスベン)での強豪オーストラリア戦に余裕をもって臨むことができる。
5チーム中2位以内に入るには、ともかくホームで勝ち、アウェーでは引き分け以上を狙うという戦いが重要だ。そのホーム4試合中2試合が6月に連続してあることは大きな意味をもつ。
A組に比べ実力が接近するB組
韓国、イラン、ウズベキスタン、カタール、レバノンの5チームが入ったA組と比較すると、B組は厳しいと見られている。FIFAランキングを見れば明らかだ。抽選は今年3月現在のFIFAランキングでシードを決めて行われたのだが、この月だけ、日本が韓国(31位)に次ぎ33位で、AFC(アジアサッカー連盟)加盟国中3位だった。その結果、5月現在のランキングではアジアで1位のオーストラリアと2位の日本が同じ組になり、他の3チーム中2チームもB組がA組より上という形になってしまった。第1節、6月3日(日)に埼玉スタジアムで対戦するオマーン(キックオフ19時30分)は守備力に定評を持つチームで、3次予選では後半の3試合をすべて無失点で切り抜け、強豪サウジアラビアを蹴落とした。イングランドのウィガンでプレーするGK(ゴールキーパー)アリ・アルハブシの鉄壁の守備を崩すことができるかが、大きなカギとなる。
続いて第2節、6月8日(金)に同じく埼玉スタジアムに迎えるヨルダン(キックオフ19時30分)は、逆に攻撃力を前面に押し出してくるチーム。最終的に日本が優勝を飾った12年のアジアカップ(カタール)初戦で当たり、1点をリードされて最後の最後に追いついてようやく引き分けに持ち込んだ試合は記憶に新しい。
そして第3戦、日本にとってアウェーでの初戦の相手が、FIFAランキングでアジアナンバーワンのオーストラリア。主力の大半はヨーロッパでプレーしているが、エースはJリーグの名古屋でプレーするFW(フォワード)ケネディ。好調清水を中盤から支えるMF(ミッドフィルダー)アレックス・ブロスクも、警戒を要する選手だ。
心強い本田の代表復帰
アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表は、5月23日(水)に静岡でアゼルバイジャン代表と対戦し、2-0で勝った。11年9月からさまざまな故障で離脱していたMF本田圭佑が復帰し、ドイツで大きく伸びたFW香川真司とのコンビで再三好プレーを見せた。前半24分の35メートルの直接FK(フリーキック)は相手GKがかろうじてはじくも、彼ならではのものだった。本田を欠いた3次予選では北朝鮮とウズベキスタンに苦戦を余儀なくされただけに、最終予選に向け本田が万全のコンディションでチームに戻ったのは非常に大きい。そして翌24日には6月の3試合を戦う25人のメンバーを発表、そこには、23日のアゼルバイジャン戦で日本代表デビューを飾ったDF(ディフェンダー)酒井宏樹(柏)、MF高橋秀人(F東京)、そしてFW宮市亮(ボルトン=イングランド)の3人も含まれている。
レギュラー陣は海外組が中心に
これまでの実績などから、レギュラーと見られるのは、GK川島永嗣(リールセ=ベルギー)、DFは内田篤人(シャルケ04=ドイツ)、吉田麻也(フェンロ=オランダ)、今野泰幸(G大阪)、長友佑都(インテル・ミラノ=イタリア)、MFは遠藤保仁(G大阪)、長谷部誠(ヴォルフスブルク=ドイツ)、本田圭佑(CSKAモスクワ=ロシア)、FWは岡崎慎司(シュツットガルト=ドイツ)、香川真司(ドルトムント=ドイツ)、そして前田遼一(磐田)。11人中8人が「海外組」だ。このチームをベースに、攻撃参加と正確なクロスで評価の高いDF酒井宏樹、チャンスメーカーのFW清武弘嗣(C大阪→ニュルンベルク=ドイツ)、長身FWのハーフナー・マイク(フィテッセ=オランダ)、そして誰にも負けないスピードをもつ宮市亮らが交代選手として絡んでくるだろう。
「予選突破」は至上命題。そのうえに、最終予選の8試合でチームとして成長し、14年、ブラジルの地で上位を目指してほしいものだ。