アジアモンスーンがグローバルな気候へ及ぼす影響としてもう一つ注目しているのが、モンスーンが化学風化の速度に影響を与えているらしいということです。化学風化というのは、岩石が大気や雨水と反応して砂や泥になっていく過程のことですが、その過程で大量の二酸化炭素を吸収することが分かっています。つまり、モンスーンの研究が二酸化炭素の制御に役立つかもしれないということになります。
近年、世界中で異常気象が観測されています。2013年だけでも、5~6月の東部・西部ヨーロッパ、6月のインド、7月の中国・北朝鮮、9月のインドシナ半島、そして11月のフィリピンと、死者が出る異常気象が頻発しました。ここ20年で台風の経路も変わってきています。水月湖の年縞による年代推定精度が上がれば、それにリンクして様々な研究の精度が向上します。そうしたことが、未来の気候の予測につながり、災害を未然に防ぐ手立てにもなることを期待して、我々は研究を続けています。