後ろに立つ囚人たちが、好奇心に満ちた目でこちらを見ている。
「ええ、いいですよ」
私は早速、その紙に並ぶ20ほどの名を全部カタカナで書いて手渡した。
「ありがとう!」
紙を受け取ったハビエルと周りの若者たちが、私に握手を求める。そして紙を覗き込んでは、無邪気におしゃべりを始めた。
私は同じような光景を、ほかの場所でも見たことがあった。メキシコの路上生活をする少年たちが通う施設で、だ。子どもたちは、日本人と見るとボールペンを持ってきては、自分の腕を突き出し、「僕の名前を日本語で書いて」とねだった。一人に書くと、同じリクエストをする者が現れ、しまいには行列ができる。そんな12、13歳の少年たちと同じ目をしたギャングが、そこにいた。