2012年12月16日投開票された衆議院総選挙で自由民主党(自民党)が大勝したのを受けて、同月26日に自民党総裁の安倍晋三を首相として成立した自民、公明両党の連立政権。衆議院では3分の2以上の多数を握り、再議決権を確保したうえに、13年7月参議院選挙の結果、参議院でも与党が圧勝し「衆参ねじれ」状態を解消した。組閣人事では、最重視する経済政策担当として元首相麻生太郎を副総理兼財務相・金融担当相に、甘利明を経済再生担当相兼経済財政担当相に、茂木敏充を経済産業相にそれぞれ起用した。外交・安全保障担当としては岸田文雄を外相に、小野寺五典を防衛相にそれぞれ充て、官邸主導外交を目指すこととした。党の態勢では石破茂幹事長を続投させる一方、総務会長に野田聖子、政調会長に高市早苗という女性2人の党三役起用(→「自民党三役」)によって参院選へのアピールを狙った。安倍首相は自らの政権を「危機突破内閣」と位置づけ、経済再生、震災復興、危機管理の3点に全力を挙げるよう全閣僚に指示した。経済再生では、(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略、を「3本の矢」として推進した。金融政策では、日銀に対して「物価目標2%」を設定するよう要請し、日銀側も受け入れた。財政出動としては20兆円規模の緊急経済対策を決定し、約10兆円の大型補正予算を組んだ。民主党時代に休眠していた経済財政諮問会議を再開し、ミクロ経済については日本経済再生本部を新たに設置して成長戦略を検討することとした。再生本部の下に民間経済人を多く登用した産業競争力会議も設置した。13年3月にはTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明した。秋の臨時国会は「成長戦略実行国会」と称し、産業競争力強化法や国家戦略特区法などを成立させた。外交面では中国を念頭に「地球儀を俯瞰する戦略的外交」を展開。同年秋の臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)設置法と特定秘密保護法を成立させ、12月に国家安全保障戦略(NSS)と防衛計画大綱、中期防衛力整備計画を策定、さらに靖国神社を参拝するなど安倍カラーを鮮明にした。14年4月から消費税の8%への引き上げを実施した。7月に集団的自衛権の行使について一定の要件を満たせば憲法上許容されるとする新たな憲法解釈を閣議決定した。9月には内閣改造に踏み切り、女性5閣僚を起用したが、このうち小渕優子経済産業相と松島みどり法相は政治とカネの問題が浮上して10月辞任した。安倍首相は11月18日、15年10月から予定していた消費税の10%への引き上げを1年半先延ばしすることを発表し、併せて「国民の信を問う」として衆議院を解散することを表明。衆議院は21日解散された。12月14日投開票された総選挙で自民、公明の両与党は325議席を獲得して信任を得た。(→「安倍政権(安倍晋三政権)」「第3次安倍政権(安倍晋三政権)」)