逆に人によっては「ナンパしてやった」「声をかけてやった」とさえ思っている節がある。そんな言葉を男性が口にしているのを聞いたことは一度や二度ではない。そして面倒なのは、女性の側にも「ナンパ大歓迎」、ということを口にする人がいることだ。
いや別に大歓迎なのはいいんだけど、例えば女性タレントなどがそのようなことを公共の電波で口にしたりするのはどうかと思う。それだけではない。最近も、ある女優がテレビ番組で、「男性に口説いてもらうと、自分はまだ女として大丈夫なのだと思って嬉しいからどんどん口説いてもらいたい。女性ってみんなそうでしょ?」というようなことを言っていて閉口した。#Me Tooの動きがこれほど世界に広がり、男性側が「口説いているだけ」と思っていても場合によってはセクハラになりうる、ということが知られているこのご時世にである。
「ほーらやっぱり女は口説いてほしいんだろ?」という勝ち誇った声が聞こえてきそうだ。別に口説くのが悪いわけじゃない。だけど「女は常に口説かれることやナンパを待っているもの」という雑な意見が迷惑だ、というだけなのだ。
世の中には、ナンパから生まれる恋もある。それで結婚する人だっているだろう。しかし、誰かの「性的自由」が誰かを犠牲にしたり、傷つけたりするものであっては決していけない。
そんなことを主張すると、また「カタいこと言うなよ」とか言われるのだろうか。
だけど、嫌なものは嫌、と言っておかないと、本気でわかってない人には伝わらないのだ。そしてその「本気でわかってない人」は、私が思うよりもずっと多いようなのである。
次回は3月7日(水)の予定です。