高卒後、浪人生活を経てフリーターとなり、25歳で物書きとしてデビューし、出版不況が深刻化する中、とにかく仕事を切らさないよう、働いてきた。毎年1冊は本を出すことを自分に課し、18年間、なんとかそれを続けてきた。もちろん、それは多くの人の助けがあってこそのことなのだが、「いいお母さんになれるよ」とか「子どもだけは産んだほうがいい」とかの言葉たちは、そんな私の紆余曲折をあっさりとなかったことにするような、暴力的なほどの無神経さに満ちているのだ。
一方で、私の周りには様々な理由から「子どもはつくらない」と決めている人もいるし、経済的な理由から諦めたという人もいる。不妊治療を続けている人もいるし、パートナーの不在という問題を抱えている人もいる。
こうしてちょっと書き出しただけでも、この問題の周りは見渡す限り地雷原なのだ。他人が軽い気持ちで口を出していい問題ではない。
それにしても、ハマチがメジロになり、ブリになるという「出世魚」的な自然現象のように「母」になることを決めつけられ、時に「華」とか言われながらも同時に「不浄」な存在であり、それでいながら男社会の底辺で下働きを求められる、女という存在。一方で「土俵」には上げないのに、「男の品定め」のためのリングにはいつも勝手に上げられている。
それがこの国のごく当たり前の光景だと思うと、生きづらくて当たり前だよな、という気持ちが込み上げてくるのだった。
5月22日(火)『「女子」という呪い』刊行記念トークイベント開催!
この国で、「女子」でいることはかなりしんどい。
私たちに向けられる「呪いの言葉」について、みんなで考えてみませんか? 今回のトークセッションでは、ゲストに作家の北原みのりさん、話題の漫画家・田房永子さんをお迎えし、著者である雨宮処凛と共に大いに語り合っていただきます。会場は東京・神楽坂のブックカフェ「神楽坂モノガタリ」。みなさんふるって(男性もどうぞ!)ご参加ください。
お申し込みはこちら
https://peatix.com/event/382604/view(外部サイトに接続します)
雨宮処凛の最新刊『「女子」という呪い』好評発売中!