そんな価値観は60代以上の世代には結構共有されているもので(もちろんそれに疑問を持つ人も多くいるが)、本人がいいならそれも一つの幸せの形だと思うのだが、私には絶対に無理な話だし、多くの同世代や下の世代もそうだと思う。もっと対等で、家事も子育ても分担、というのが現代の女性の多くが望むものではないだろうか。
しかし、同世代や下の世代でそんな現代的な感覚を持っていると思われる女からも、時々裏切り者が出現するのが世の常だ。
最近、「裏切られた!」と憤慨したのはタレント・映画コメンテーターのLiLiCo。
歌謡グループ「純烈」のメンバーと結婚し、それはそれでめでたいものの、テレビで見かける彼女は嬉々として「家事を夫にやらせない」昭和妻をやっているではないか。
旦那とともにテレビ出演する際には、旦那はそんなLiLiCoの「尽くし」度合いを嬉しそうに語る。最近、テレビで自宅映像が公開されていたのだがそれもまた衝撃だった。台所に立つLiLiCo。手伝おうとする夫に、「いいから座ってて、あなた仕事してるんだから家では何もしなくていいの」とかそんな内容のことを言って手伝わせないLiLiCo。
それを見た瞬間、叫んだ。いや、あなたの方がずっと忙しいしずっと疲れてるし、あなたのほうが絶対稼いでるじゃん! っていうか、性別役割分業の呪いを広めるような映像、頼むから全国放送しないで!
諄子は60代だが、LiLiCoは1970年生まれの40代。しかも男女平等の国・スウェーデンに生まれたという経歴を持つ。なぜ、世界屈指のジェンダーギャップの少ない国に生まれて昭和妻やっちゃってんだよ……。今、友人たちの間では「LiLiCoの昭和妻がいつまで続くか」が賭けの対象となっている。
別にLiLiCoが悪いんじゃない。ただ、夫に家事を手伝わせないLiLiCoの背後に、「ほーら、女はやっぱり男の世話をあれこれ焼くのが幸せなのよ!」と高笑いする無数の本気昭和妻の顔がちらついてしまうのだ。
本人が幸せならいいんだけど、時に「愛されたい」という女の願いは、女全体への呪いとして機能してしまうこともある。そしてもう一つ、「実はいい女」とかの基準が「家庭的」という評価軸しかないこの現実を、何とかしなければとも思っている。
次回は12月5日(水)の予定です。