EUではISDSよりも少しだけましな制度として「投資裁判所制度」を導入し始めたところだ。どれも試行錯誤の途中であるが、少なくともTPPやTTIPのようなメガFTAはどの国も受け入れ難いという認識を持ったうえで、新たな貿易のあり方を模索する取り組みが必要だ。
いったい誰のためのルールなのか? 利益を得るのは誰なのか? なぜ私たちのことを私たち自身が決められないのか? なぜ交渉はこれほどまでに秘密なのか?――「貿易協定という名のもとの経済社会全般にわたるルールの書き換え」に、人々は根本的な異議を唱えている。これは、決して「保護主義との闘い」ではなく、「自由貿易=善」と信じてしまうことでもなく、国家や自治体の役割・機能への問い直しでもあり、民主主義の機能不全を是正するための問いでもある。