3月10日にエチオピアで墜落事故を起こしたボーイング737MAX8機への対応が挙げられる。中国をはじめアジア各国は事故翌日に、EUを含め世界各国も13日までには同型機の運航停止を決めた。一方、安倍政権が上空通過禁止を決めたのは14日。米連邦航空局(FAA)が米国内での運航禁止を決めた直後だった。これこそ、思考停止のまま米決定に追従する安倍外交の実相と言えるだろう。どんな同盟であれ生命に優先させてはならない。
先に紹介したNYタイムズのブルックスは、なかなか含蓄のある発言をしている。中国を「敵」とみなす議論の「落とし穴」を次のように描くのだ。
「もし中国がわれわれに対して『他者』だとするなら、その『われわれ』とは何者なのか? 中国がリベラルな国際秩序に対する脅威であるなら、われわれが自分たちのシステムを改善して、挑戦に立ち向かう能力はあるだろうか」(同上)
異質と思われる他者と向き合うときは、自分の足元の慣れ親しんできた秩序の正当性こそ問い返すべきだと言っているのだ。至極まっとうな主張だと思う。100年来の転換期だからこそ、「日米同盟」の中身とその正当性を問い返さなければ、「袋小路」からの出口は見えない。
第3回は、包括的な安倍外交「戦略」の「インド太平洋」を取り上げる。安保法制によって日米同盟を強化する一方、将来的には「自主防衛」を目指そうとする安倍戦略を、議論の俎上に載せたい。
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