育休を取らないなんてもったいない!
僕にとって育児休暇は、「子どもにとってのかけがえのない自分」を実感させてくれる最高の経験でした。毎日が楽しく、必死で、時々辛いこともあるけれど、振り返れば充実している。育児とはまさにマルチタスクです。下の子にミルクをあげる間に、上の子のおむつを何とかするとか、同時進行でこなさなければならないことが山のようにある。予測通りにはいかないことばかりなので、不確実性にどう対処するかの訓練にもなる。育児を経験すれば、職場での処理能力も上がると思います。でも、仕事に育児経験を生かそうなんてことよりも本当は、「明日死ぬかもしれない」と考えた時、この経験をしないでいるのは単純にもったいないと僕は思うのです。死ぬ瞬間に、人は果たして営業成績を思い浮かべるだろうか? きっと脳裏に浮かぶのは「おかえり」と走ってきてくれる子どもの笑顔だったり、家族の姿だったりすると思う。せっかく生きるなら、走馬灯の一コマ一コマを増やしていきたい。それが人生の豊かさなんじゃないか。だから、僕は声を大にして「男性も女性もみんなが育休を取るべきだ!」と言えるんです。「会社人なら、家庭を犠牲にしても仕事をするべきだ」という雰囲気が世間にはまだまだあります。そんな空気は読まないで、あえて「子育てのために残業はせずに帰ります」「明日は会社を休みます」と言う勇気は必要です。その一歩から、生き方も働き方も変わっていきます。
さて、僕が次に挑戦したいのは、障害児保育です。厚生労働省と大阪市の調査などによると、障害児の母親で働いている人は、常勤雇用でいうと健常児家庭の母親に比べてたったの7分の1。障害児の母は、その子を産んだ瞬間に一生面倒を見ることを宿命付けられる。母親なら当たり前だろうという風潮がありますが、本当にそうでしょうか。その子どもは母親の子であると同時に、社会の子。社会が手助けするのも当たり前だと僕は思う。日本の保育所で障害児を受け入れられるところは、人材不足もあってまだまだ少ないのが現状です。この環境を打破するためのモデルケースを、14年から作っていきたいと思っています。