無症状感染が多く、致死率が低いことから、かかっても重症化しなければ恐れる必要はない。
予防対策と治療薬の見通しについて
石鹸による手洗いは必須、アルコール消毒も有効だ。マスクの予防効果は科学的には立証されていない。正しく密着させて使えば飛沫を物理的に遮断でき、無意識に顔を触るのを防いで接触感染予防につながるだろう。しかし、不織布部分を手で触れるなど、誤った使い方をすれば感染を広げかねない。
安倍晋三首相は2月3日の衆議院予算委員会で、新型コロナウイルスの簡易検査キットの開発推進を明言した。現状では市中の病院を受診しても検査は受けられない。湖北省関連で発熱と咳症状などがある患者だけが、保健所に連絡して検査を受けることになる。しかしこれでは、無症状や軽症のまま感染を広げる人々の捕捉は不可能だ。検査キットの精度が低ければ、感染していても陰性とのお墨付きを誤って与えかねず逆効果なので、ぜひ精度の高いキットの開発と普及に期待したい。
確定診断後の治療にも、光が見え始めている。新型コロナウイルス肺炎の治療に、HIVなどの既存の治療薬が有効である可能性が出てきたのだ。現在、中国で臨床試験検査が行われているという。既存薬なので安全性には問題がない。もし有効性が証明されれば、既存薬の適応外使用は元来、医師の裁量によって認められている。目の前で死に瀕している患者がいた時、効果の期待される治療法を提供するのが、医師の務めだ。
国には、無駄な水際対策を惰性で続けることよりも、迅速かつ徹底した情報開示と、医師の裁量を妨げない旨を示すなどのバックアップを求めたい。
基本再生産数
感染症の感染者1人から何人に感染させるかを表す数
2019-nCoV
WHOは、2020年2月11日に新型コロナウイルスを「COVID-19」と命名したと発表した。