感染症の拡大を防止するという観点からも、ハウジングファースト型の支援の有効性が明らかになりつつある中、新たな生活困窮者支援のモデルを確立しようという動きと、従前の「施設ファースト」型の支援を継続させようという動きがせめぎ合っているように私には見える。
「もう一つの緊急事態」を乗り越えるためには、官民ともに「住まいを失わないための支援」と「住まいを失った人への緊急支援」の両方を強化することが必要不可欠である。
感染症リスクを踏まえると、かつてのような大規模な相談会や集会、デモといったツールは使えないが、現場での相談支援を進めながら、オンラインによるロビー活動、政策提言、SNSやメディアを通した社会への発信を展開していくことは可能だ。
「誰も路頭に迷わせない」ためのソーシャルアクションは、今後も続いていく。
ビッグイシュー
ビッグイシューは1991年にイギリスで始まった事業。雑誌『ビッグイシュー』を発行し、ホームレス状態の人々にその販売の仕事を提供している。販売者は雑誌を路上で売り、その売上げの約半分を収入として得られる。『ビッグイシュー日本版』は2003年から発行。