子どもの権利の地域差を解消するには
――住んでいる自治体にかかわらず、すべての子どもが平等に権利を保障されるようにするにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。
自治体だけではなく、子どもの権利が守られているかを監督する国の独立した機関があれば、住んでいる自治体によって子どもの権利が守られたり守られなかったりする状況を解決することができます。国によって名称は違いますが、こうした機関は「子どもコミッショナー」と呼ばれることもあります。前編で、議員が子どもの権利について学ぶ機会が少ないという話をしましたが、国連子どもの権利委員会は2019年の勧告で「子どものために働く全ての者(教員、裁判官、弁護士、家庭裁判所調査官、ソーシャルワーカー、法執行官、メディア従事者、公務員等) を対象に子どもの権利についての研修を実施」するよう、日本政府に求めています。こうした研修を行うことも、子どもコミッショナーの大切な役割のひとつです。
こども基本法制定時には国レベルでの相談救済機関の設置も視野に議論されていましたが、結局は盛り込まれませんでした。一方、附則第2条で施行後5年を目処に「こども施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備」を検討するとしており、 これはつまり子どもコミッショナーのことを指していると言えるでしょう。5年後に向けて、まずは自治体で実施されている子ども関連施策の調査・研究を行っていくということなので、経過を注視していきたいと思います。