今こそ、闘い続けるヨーコを知らないと!
そして1980年。ヨーコとジョンが交互に歌い、ダイアローグのように紡がれたアルバム『ダブル・ファンタジー』が出る。その発売からわずか3週間後にジョンは凶弾に倒れたわけだが、日本盤(2000年の再発版)の帯には「ジョン・レノン、ラスト・アルバム」と書かれている。いや、それはそのとおりなんだが、『ダブル・ファンタジー』はふたりの作品だ。でも、認識はジョン・レノンのアルバムで、ヨーコは参加した人みたいになっている(発売から20年経った時でも、だ)。今もふたりを言う時、その表記は永遠にジョンとヨーコだ。ヨーコとジョンには、ならない。ヨーコが声を枯らして歌って、訴えてきたことは、なかなか理解されず、道半ばだ。
さらに、忘れてはいけない。2001年にはヨーコは女性への暴力をテーマにしたアルバム『ブループリント・フォー・ア・サンライズ』を発表した。これも聞くべき1枚だ。2018年にはヨーコは過去の自身の曲をレコーディングし直したアルバム『ウォーゾーン』を出し、世間を驚かせた。長年ジョンだけの作品とクレジットされてきた
「イマジン」が、この前年にヨーコとジョンの共作として認められたこともあったろう、ヨーコ版の「イマジン」も収録され、85歳になったヨーコの歌声はごつごつとした祈りのようだ。また「ウーマン・パワー」も再録。#MeTooに呼応し、ヨーコが頷いているかのような大きさを感じる。なんと長い間ヨーコは闘い続けていることだろう。
オノ・ヨーコ。アーティスト/フェミニスト。今こそ、もっと彼女を知りたくなっている。
*『ダブル・ファンタジー展 ジョン&ヨーコ』2020年10月9日~2021年2月18日 ソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催。オフィシャルサイトはこちら。
「フルクサス」
1960年代初めから、アメリカ人の美術家ジョージ・マチューナスが主導し、世界的な展開をみせた芸術運動。イベントを中心にさまざまなジャンルで、J.ボイス、N. J.パイク、G.ブレクト、W.フォステル、O.ヒギンズ、L. M.ヤング、B.ヴォーティエ、J.メカス、靉嘔、小杉武久、一柳慧、小野洋子などが参加した。ニューヨーク、ケルン、コペンハーゲンなど欧米の各地で活動を展開。フルクサスは、ラテン語で「流れる、なびく、変化する」などの意味。ヨーロッパを中心とした伝統的な芸術に対し前衛的性質を掲げてはいるが、厳密な定義はない。