〈【年表解説】夏季オリンピックの128年①第1回アテネ大会~第20回ミュンヘン大会〉からのつづき
第21回:1976年モントリオール大会(開催国:カナダ)
開催日:7月17日〜8月1日
参加国・地域:92、参加選手数:6084人、21競技198種目
公式マスコット:アミック。ボディに虹色のラインが入ったビーバーの姿。「アミック」はカナダ先住民が使うアルゴンキン語で「ビーバー」を意味する。
*【トピック】「7つの10点満点」:当時14歳だったルーマニアの体操選手、ナディア・コマネチが段違い平行棒、平均台などで7回にわたり10点満点を記録した。得点「10.00」が想定されていなかったため、電光掲示板には「1.00」と表示された。コマネチはこの大会で金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得した。
*ローマ大会以降、日本代表が体操男子団体総合で5連覇。
ナディア・コマネチが体操で10.00を記録したが、当時の電光掲示板では表示できず、1.00と表示された(1976年モントリオール大会)
〈1979年12月、ソ連によるアフガニスタン侵攻が開始〉
第22回:1980年モスクワ大会(開催国:ソビエト連邦)
開催日:7月19日〜8月3日
参加国・地域:80、参加選手数:5179人、21競技203種目
公式マスコット:ミーシャ(フルネームはミハイル・ポタピチ・トプティギン)。五輪マークのベルトをつけた小熊。
*ソ連によるアフガニスタン侵攻に抗議し、西側諸国がボイコット。日本も不参加となった。
*ソ連は80個の金メダルを獲得(1大会における金メダル数は、1984年ロサンゼルス大会におけるアメリカの83個に続く2位)。
第23回:1984年ロサンゼルス大会(開催国:アメリカ)
開催日:7月28日〜8月12日
参加国・地域:140、参加選手数:6829人、22競技221種目
公式マスコット:イーグルサム。星条旗柄の帽子をかぶった白頭鷲(アメリカの国鳥)。
*民間資本によって開催された初の大会。
*モスクワ大会の報復として、東側諸国がボイコットした。
*アメリカの陸上選手カール・ルイスが出場した全種目(男子100メートル、男子200メートル、男子走り幅跳び、男子400メートルリレー)で金メダルを獲得。
*シンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)が正式競技に追加された。ソロで元好三和子、デュエットで元好・木村さえ子ペアが同競技日本初のメダルとなる銅メダルを獲得。
*自転車男子スプリントで坂本勉(つとむ)が同競技日本初のメダルとなる銀メダルを獲得。
*アメリカは83個の金メダルを獲得。1大会における金メダル数1位の記録(2位はモスクワ大会におけるソ連の80個)。
カール・ルイス(1984年ロサンゼルス大会)
第24回:1988年ソウル大会(開催国:韓国)
開催日:9月17日〜10月2日
参加国・地域:159、参加選手数:8391人、23競技237種目
公式マスコット:ホドリ。オレンジ色の虎の姿をしている。韓国語で「ホ」は虎、「ドリ」は男の子を意味する。
*陸上男子100メートル決勝で、ベン・ジョンソン(カナダ)がカール・ルイス(アメリカ)を引き離し、9秒79(世界新記録)で優勝したが、その後のドーピング検査で筋肉増強剤の使用が発覚し、メダルは剥奪、記録は抹消された。
*【トピック】「世界最速女子、ジョイナー」:アメリカの陸上選手、フローレンス・ジョイナーが、女子100メートル決勝で10秒49、女子200メートル決勝で21秒34(ともに世界記録を更新)のタイムを出して優勝。この2つの記録は2024年6月時点で破られていない。ジョイナーは女子400メートルリレーでも金メダルを獲得した。
*【トピック】「年間ゴールデンスラム」:西ドイツのテニス選手、シュテフィ・グラフが女子シングルスで優勝し、史上初の「年間ゴールデンスラム(1年間にテニスの4大大会〈全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープン〉とオリンピックで優勝すること)」を達成した。年間ゴールデンスラムの達成者はグラフのみだが、1年間ではなく現役を通して5大会を制覇する「生涯ゴールデンスラム」は、男子3名(アンドレ・アガシ〈アメリカ〉、ラファエル・ナダル〈スペイン〉、ノバク・ジョコビッチ〈セルビア〉)、女子1名(セリーナ・ウィリアムズ〈アメリカ〉)が達成している。
フローレンス・ジョイナー(1988年ソウル大会)
〈1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊〉
〈1991年12月25日、ソ連崩壊〉
第25回:1992年バルセロナ大会(開催国:スペイン)
開催日:7月25日〜8月9日
参加国・地域:169、参加選手数:9356人、25競技257種目
公式マスコット:コビー。グレート・ピレニーズ(ピレニアン・マウンテン・ドッグ)をキュビズムスタイルで擬人化したデザイン。
*近代オリンピック100周年記念大会。
*1989年のベルリンの壁崩壊により、東ドイツ、西ドイツは統一ドイツとして参加。また1991年のソ連崩壊の影響により、旧ソ連構成国の選手は、EUNという名称の合同チームに所属する形で参加した。
*バスケットボール男子アメリカ代表として、マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンなどNBA(全米バスケットボール協会)のスター選手が集結した「ドリーム・チーム」が参戦し、優勝した。
*女子柔道が正式種目に追加された。「YAWARAちゃん」こと田村亮子が16歳で出場し、女子48キロ級で日本初のメダルとなる銀メダルを獲得
*射撃男子クレーオープントラップで渡辺和三(かずみ)が同競技日本初のメダルとなる銀メダルを獲得。
*【名言】「今まで生きてた中で一番幸せ」:競泳女子平泳ぎ200メートルで優勝した、当時14歳の岩崎恭子の発言。
*【名言】「こけちゃいました」:陸上男子マラソンに出場した谷口浩美の発言。谷口は前年の世界陸上男子マラソンで優勝したことでオリンピックでも期待されていたが、20キロ付近でほかの選手と接触し転倒、8位入賞に終わった。
岩崎恭子(1992年バルセロナ大会)