「毒と薬は紙一重」といわれるが、私たちの周りには多くの有毒な生物が存在する。花壇を彩るかれんな花にも毒を有するものがある。しかし人間はその毒の中から有効成分を抽出して、特定の病気の治療に用いている。まさに「毒をもって毒を制す」である。(「イミダス1998年版」掲載)
イラクサ
イラクサ科の多年草。山野や道端に自生する。葉や茎に1mmほどの中空の棘があり根元近くの球形の部分にはギ酸を蓄えている。この棘に刺されると鋭い痛みののち、かゆくかぶれたり、炎症を起こし水疱を生じる場合もある。そのためイタイタグサの名もある。若い葉は食用にもなる。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ウメ
バラ科の落葉小高木で、中国江南地方の原産。花も実も古くから親しまれているが、未熟な青梅には注意が必要である。アミグダリンが含まれていて、これを食べると加水分解され青酸を生じ、頭痛、発汗から場合によってはけいれんや呼吸困難を引き起こし死亡するケースもある。熟すと毒性はなくなるが、青梅でも梅酒や梅干しにしたり、煮ると毒性は消えていく。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ウルシ
ウルシ科の落葉高木。中国、中央アジア原産だが、日本でも古くから栽培されており、北海道から九州に分布する。全体にウルシオールという毒性成分があるが、特に樹液に多く含まれる。かぶれ(皮膚炎)を引き起こすが、体質による個人差が大きく、全身に発疹ができ、発熱することもある。樹液は漆器塗料の原料として利用されている。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
キョウチクトウ
キョウチクトウ科の常緑低木。インド原産だが、排気ガスや潮風害に強いことから街路樹や庭木として広く利用されている。樹皮や根にオレアンドリンなどの有毒配糖体が含まれており、毒性も激しい。嘔吐・腹痛などで不整脈を起こし、心臓麻痺で死亡することもある。一方、強心作用があるため薬用にも使われる。
◆その他のミニ知識はこちら!【毒のある植物】