「毒と薬は紙一重」といわれるが、私たちの周りには多くの有毒な生物が存在する。花壇を彩るかれんな花にも毒を有するものがある。しかし人間はその毒の中から有効成分を抽出して、特定の病気の治療に用いている。まさに「毒をもって毒を制す」である。（「イミダス1998年版」掲載）
シャクナゲ
ツツジ科の常緑低木。本州中・西部、四国の山地や高山の樹林帯にホンシャクナゲが分布するが、ほかに全国にさまざまな種類が自生している。すべて有毒で、葉にロードトキシンなどのけいれん毒があり、摂取する量が多いと嘔吐・下痢・呼吸困難などの症状が出る。健康茶として利用されることもあるが、注意が必要。
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スイセン
ヒガンバナ科の多年草。平安時代に中国から渡来し、暖地の海岸などに野生化した。観賞用としても栽培される。全体が有毒で、特に球根にはリコリンというアルカロイドがあり、摂取すると胃腸炎を起こしたり、頭痛・下痢・嘔吐などの症状が出る。切り花の汁でアレルギーを起こすこともあるが、根をすったものは腫れものに効くとされる。
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スズラン
ユリ科の多年草。本州中部の高原や北海道の平地に自生するが、園芸種として栽培されたものが各地で繁殖している。全体、特に根に強心配糖体のコンバラトキシンが含まれ、嘔吐・頭痛・不整脈を起こし、心不全に陥ることもある。強心・利尿薬としても利用される。新芽は食用となるギョウジャニンニクに似ているため注意が必要。
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ソテツ
ソテツ科の常緑低木。沖縄や九州南部の海岸の断崖などに自生し、観賞用としても栽培される。全体にサイカシンという成分があり、これが体内に入って酸で分解されると、殺菌剤などに使われる有毒物質のホルマリンがつくられる。赤い実に良質のでんぷんが含まれ、古くから薬・食用に利用されたが、きちんと処理せずに食べると中毒を起こす。
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