動物の一般的な呼び名や学名のつけ方にはワケありのものも少なくない。ここで陸に棲むほ乳類たちの名付けの由来をとりあげよう。(「イミダス2000年版」掲載・編集)
オランウータン
学名は〔Pongo pygmaeus〕。Pongo は、「類人猿」またはコンゴ語 mpongiで、これはもともとゴリラを指した。「オランウータン」は「森の人」を意味するマレー語に由来。中国では「猩々(しょうじょう)」。「本草綱目」という書物では「心が聡く明らかなさま」をいう「惺惺」に由来する。人語を話し、未来を予見する動物といわれたから。
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ゴリラ
ローランドゴリラの学名は〔Gorilla gorilla gorilla〕。Gorillaはギリシャ語で、「毛深い人(gorillai)」の意。元来、西アフリカの毛深い女部族の名だったとされる。マウンテンゴリラ〔Gorilla gorilla beringei〕は希少種。beringeiは、発見者であるドイツ人、フォン=ベリンゲ大尉の名にちなむ。日本には1954年初渡来。異名は「大猩々(おおしょうじょう)」。
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チンパンジー
学名は〔Pan troglodytes〕。Panはギリシャ神話に登場する、上半身は毛深い人間で下半身がヤギの牧畜と森の神。Troglodytesは「洞穴に住む人」を意味するギリシャ語。異名は「黒猩々(くろしょうじょう)」。「チンパンジー」はザイールの現地名「キンぺンジ(kimpenzi)」から。ピグミーチンパンジー(別名ボノーボ〔Pan paniscus〕)のpanisucusは「小さなPan」。
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インドリ
学名は〔Indri brevicaudatus〕。キツネザル類で、体長60~70cm。樹上で生活。18世紀、マダガスカルを訪れたフランスの博物学者が初めて遭遇したとき、案内役をつとめた先住民が「インドリ! インドリ!(見なさい、の意)」と叫んだため、誤ってこの名がつけられた。マダガスカルでは、本来「ババコト」という。
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