この1年間にメキシコの入国管理局に拘束される移民少女の数は、子ども移民危機と言われた14~15年と同じレベルだとして、おそらく1万4000人は軽く超えるだろう。「移民キャラバン」を含めれば、さらに多いと予想される。16年に拘束された移民少女1万4178人のうち、1万3625人が強制送還になっていることから考えると、マラスに象徴される暴力から逃れてきた少女の中で、希望の光を見つけられる者は、ごくわずかだ。
そして今、メキシコの土を踏んだ後も、マラスに怯え続けなければならない現実が迫っている。
(続く)
※最終回となる第3回は、近年メキシコに広がるギャング団「マラス」の脅威を取材。マラスの暴力から逃れるため、命懸けでメキシコに渡った移民たちを待ち構えていたものとは……。12月3日リリース予定。
当連載を基に大幅加筆した単行本『マラス 暴力に支配される少年たち』(集英社、開高健ノンフィクション賞受賞)が文庫化しました。(集英社文庫『マラス 暴力に支配される少年たち』のサイトへ)