加藤 今までと何が違ったんですかね。
ますむら 好きだという思いが強烈にあったんでしょうね。
加藤 そこまで思ってもらえたモミちゃんは幸せな猫ですね。
ますむら モミちゃんが亡くなった後、今年の1月に黒猫のススコちゃんが亡くなったんですが。
加藤 そのときは、ペットロスじゃなかったんですね。
ますむら そうですね。ごめんね、ススコ(笑)。
3匹の子猫たちがやってきた!
加藤 その後に子猫たちがやってきたのですね。今、猫は3匹ですか?ますむら もう1匹、フウタという18歳の猫がいます。今は庭の縁の下で寝てるんじゃないかな。昼間はそこがお気に入りなんです。フウタは孤高のばあさん猫で、うちの奥さんにしか懐いていない。それも我が家の猫ではめずらしいこと。これまでずっと多頭飼育でいつも2~3匹、多いときには7匹いましたから、1匹だけになってしまったのは初めてじゃないかな。
加藤 猫が亡くなって悲しんでも、また次の猫を飼おうと思うのは健全だと思います。
ますむら いずれはまた子猫を飼おうと思ったけど、気持ちが切り替わるには1年くらいかかりました。
加藤 それでやってきたのがこの3匹ですね。
ますむら そうです。白黒はシッポが「?」マークみたいに曲がっているからハテナ。三毛は困った顔をしているからコマちゃん。俺と奥さんとでそれぞれ名前を考えていて、せーので発表したら二人とも「コマちゃん」で一致(笑)。この2匹は今年の5月生まれの兄弟。いちばん小さいのは6月生まれで、正面から見た顔がマーモセットみたいなサル顔なんでモンキーのモンちゃんです。
加藤 この猫たちはどこから来たんですか?
ますむら コマちゃんとハテナは、Facebookで知り合った人のところからです。三毛猫と白黒の猫がほしいってネットに書き込んだんです。昔だったら「もらってください」ってすぐに連絡が来たのに、今だと「保護猫団体に行きなさい」になるんですよね。それで調べてみたら保護猫団体だと60歳以上の人はダメって。
加藤 この取材をしているとよくその話題が出ます。保護猫団体の気持ちもわかるんですけどね。あまり厳しくすると誰ももらってくれなくなっちゃう。今は猫も長生きしますから、60過ぎて飼い始めたら、最後まで面倒みられないでしょうってことなんでしょうが、本気で飼う人だったら、自分が死んだ後どうするかはちゃんと考えていますよね。
ますむら そうですよ。厳しい団体があってももちろんいいと思いますが、すべての団体がそれに倣うことはないんじゃないか。お役所じゃないんだから。それで、今回はFacebook経由で。何匹かいた子猫の中からコマちゃんを選んだら、その飼い主さんに「普通の人はなかなかこの猫を選びませんよ」と言われました。俺はモミちゃんと同じ三毛がほしくて、その中にいたのがこの猫だったから選んだだけですが、予想以上に個性的な顔立ちで。長年猫を飼った熟練者でないと手を出さない高度な域だと(笑)。
加藤 この「味」がわかるのは猫熟練者だってことですね(笑)。わかるような気がします。でも、全員美形ですよね。もう1匹のモンちゃんはどちらから?
ますむら 知り合いの団地の敷地内で生まれた野良猫の子です。保護されたときの写真をTwitterに載せて「こんなにあどけない子を野良にしておくわけにはいかない!」って書いたら、「いいね」が3000くらいついてすごい反響がありました。
加藤 ここの庭、木々や花がたくさんで本当に素敵なのですが、こんな素敵な庭のあるこの家でますむらさんたちと暮らせる猫は幸せです。私、猫が飛んだり跳ねたりしている姿をすごく久しぶりに見ました。やっぱり子猫はかわいいなあ。
ますむら 子猫たちは家族以外の人とまだそんなに会っていなかったから、今日ははしゃいでいますね。加藤さんちの猫は何歳なんですか?
加藤 うちは18歳と10歳ですから、もうこんなふうには遊ばない。
ますむら 加藤さんもぜひまた子猫を飼ってください。よし、これでまた子猫を飼ってくれそうな人を一人見つけたぞ(笑)。
言うことを聞かないのが猫の魅力
加藤 ますむらさんと言えば、登場人物を猫のキャラクターにした宮沢賢治作品が有名です。「銀河鉄道の夜」は私も読みましたけど、わからないまま挫折しました。ますむら あれは私にもわかりません。わからないところがいいんですよ。
加藤 ますむらさんはすごく研究されて、独自の作品にしているじゃないですか。
ますむら いやあ、まだまだです。でも調べているだけでおもしろいですよ。今また新たに宮沢賢治で450枚の作品に取り組んでいるので、いろいろ調査中です。
加藤 それは楽しみです。さあ、そろそろまとめに入りたいんですが、ますむらさんにとって猫の魅力って何ですか?
ますむら 言うことを聞かないところかな。猫は猫で勝手に生きている感じ、憧れですね。人は人間関係で疲れたなと思うことがあるけど、猫は猫関係で悩むこともないだろうし。それに、年老いて死に向かっているときの猫もじたばたしないですよね。いろいろと教えられることが多いですよ。
加藤 最後に、ますむらさんにとって猫とは何でしょうか?
ますむら そんな質問、今までされたことなかったなあ(笑)。そうですね。ひと言で言えば、人間ではない世界からこちらに仕わされた生き物ですかね。自然界からの使者ですね。
加藤 同感です。本当に違う切り口の世界を見せてくれますよね。今日はどうもありがとうございました。子猫がいると、家の中がエネルギーで満ちあふれると改めて感じました。
ますむら だから加藤さんもぜひまた子猫を!(笑)。