さて、そんな『GG』は富裕層向けとかで「トチカツ」(土地活用)についての記事があったり、紹介されいてるパジャマが平気で8万円以上したり、何億円もする分譲型の豪華客船の船室が「終の住処(ついのすみか)」として紹介されていたりと、だんだん気が遠くなってくる。が、『GG』世代にはやはり「ED」という悩みもあり、名刺入れの中に潜ませることができるシートタイプのバイアグラなんかも紹介されていて、少しだけ気持ちがなごんだ。ちなみに誌面では、ところどころ「ぼけ(惚け)」にまつわるネタが笑いとともに出てくるのだが、表紙のジジモデルが持っている英語の本が逆さまなのは、来たるべき認知症を暗示しているのかもしれない。
さて、いろいろ書いてきたが、『GG』を読んで改めて思ったのは「この雑誌の女性版って絶対出ないよな」ということだ。「50~60代の富裕層の女性」が、金にモノを言わせて若い男をひっかけるノウハウが満載の雑誌が創刊、なんてことになったら、どれほどのバッシングが巻き起こるだろうか。ヨン様ブームへのバッシングどころではないことは予想できる。っていうかそもそも、好きにお金を使える富裕層の女性なんて、ほとんどと言っていいほど存在しない。マーケットがないのだからそんな雑誌、作りようもないだろう。
そんな『GG』について悶々としていた頃、「BB」という言葉を知った。村田くみさんの『おひとりさま介護』(10年、河出書房新社)という本でだ。どういう意味かわかるだろうか?
正解は、「貧乏ばあさん」の略称。
「2050年前後には、女性の65歳は4人に1人、このうち半数は被用者年金も不十分で年間所得が約124万円に満たない貧困層になることが予想される」という。65歳以上の単身女性に限って言えば、2010年の時点で52.3%が貧困層。一方、単身高齢男性は38.3%と、まだ女性よりは低い貧困率だ。
一人暮らしの高齢女性は、2人に1人が約10万円以下の月収入しかない、という貧困状態なのだ。私たちが高齢者になる頃には、この貧困率はもっと上がっているだろう。未婚化、雇用の非正規化、低年金・無年金といった三重苦がのしかかるのだから。しかも、私もそうだが、頼りにできる子などいない。
それにしても、何だか女って損かも、とつくづく思う。
頑張って頑張ってのし上がって男社会に適応したら、気がつけば「パワハラモンスター」なんて呼ばれているかもしれない。かといって普通に生きていても、65歳以上になれば自動的に多くの女性が貧困に突入してしまう。その一方で、富裕層のジジたちはシートタイプのバイアグラを名刺入れに潜ませて、「若い女」という記号に群がる。どんなに金持ちだって、「若くない女」には、おそらくホッピー1杯奢ってくれやしないだろう。
『GG』を読んで、すっかりやさぐれた気持ちになった私。しかも雑誌で980円って、高すぎるだろ。もちろん、ガチでこれを読む層には、1円くらいの感覚なんだろうけどさ。
何だかいろいろ納得いかないのである。
女性議員の暴言とGGそしてBB
(作家、活動家)
2017/07/06