【書誌情報】
『平和の栖(すみか) 広島から続く道の先に』
弓狩匡純/著
発行=集英社クリエイティブ
発売=集英社
定価=本体2,500円+税
四六判ハードカバー 480ページ
ISBN978-4-420-31084-0
2019年7月5日(金)発売
【内容紹介】
広島の戦後復興のために闘った、有名・無名の勇者たち。
その姿を臨場感豊かに描いた、感動のノンフィクション!!
「75年は草木も生えない」と言われた、広島への原爆投下から74年──。
広島は、誰によって、どのようにして戦後復興を成し遂げてきたのか。
文献と証言、現場取材を織り交ぜながら、知られざる歴史のドラマを掘り起こす。
「私のような広島とは無縁の、戦争体験もない人間が核兵器の非人道性について、また戦後復興に尽力された名もなき人々の偉業に着目し、時として憤怒し、不覚にも落涙し、改めて平和の尊さに気づくこと、それこそが原爆によって不本意にも命を奪われてしまった方々が望まれたことだったのではないか」(本書「あとがき」より)
【本書の目次】
第1章 十字架を背負った少年
「広島に、悪魔が舞い降りた」でこの作品は始まる。
「神は忽然と姿をくらまし、人類がまた一歩、堕天使へと近づいた。十四万余りもの貴い生命が、その年のうちに失われる」ような惨状の中、市職員は血と汗を流しながら罹災者の救護、食糧支援に奔走する。
第2章 平和という武器
広島をどのような街にするのか。
「在りし日の〝廣島″を甦らせる〝再生″を目指すのか、それとも新たな〝広島″を作り上げる〝創造″を選択すべきか」の模索の中、「平和都市」という方向性に舵を切る。
第3章 百メートルの助走
「戦後間もなく、この一画に初めて闇市が立った。荒神市場と誰からともなく呼ぶようになった」広島の街には、やがて百メートル道路、平和記念公園が計画され、1946年平和復興祭が開催される。
第4章 焦土の篝火(かがりび)
「密集したバラックに囲まれ、川向こうには原爆ドーム、借景には遠く二葉山を望むといった何とも殺伐とした」広場で、1947年、第1回平和祭が行われた。GHQの言論統制の中「平和宣言」が世界に向けて発せられ、現在の平和記念式典へと受け継がれていく。
第5章 遥かなる道標(みちしるべ)
「『国益』ならぬ『市益』を勝ち取るための闘いの第二幕」は、1949年の平和記念都市建設法に結実する。その成立までにはマッカーサーとの交渉を含め「様々な素性や経歴、才能、そして想いを抱いた有名無名の侍たち」による、波瀾万丈とも言える執念のドラマがあった。
第6章 片翼の不死鳥(フェニックス)
2016年5月27日、オバマ米大統領が広島を訪れる。「原爆投下命令書に署名した米軍の最高司令官が、七一年という歳月を経てようやく被爆地にやってきた」一日と前後の喧騒を追い、「戦後復興の継承」という国際平和文化都市・広島の新たな責務と未来をも問いかける。