30代後半、恋人すらできないのはなぜ?
ある日、37歳の新聞記者である独身女性から相談を受けました。「結婚の前に、恋人さえできないんですが……」
「この1年間で告白された回数はどれくらいある?」
「ゼロです」
「じゃ、この1年間で告白した回数は?」
「ゼロです」
「それじゃ、恋人なんかできるわけないよ。この1カ月で男性を食事に誘ったのは何回くらい?」
「ゼロです」
「じゃぁ、まずは毎週1回、男性を食事に誘ってみたら? 新聞記事を書くのと同じようにタスクを決めて、締め切りを作って。仕事するような感じで取り組んでみたらどうかな?」
そうアドバイスすると、彼女は「そうですね、自信がでてきました! 今日の夕食、誰か誘ってみます!」と笑顔で研究室を後にしました。
彼女は、仕事はバリバリとできるのです。ただ、恋愛や結婚にだけは「いつか白馬の王子様が目の前に現れるもの」みたいなイメージがあったようです。その上、そもそも自分の前には、そんな人は現れないんじゃないか、という諦めもあったようです。仕事をするように恋愛に取り組む、自分にはその力があるという発想すらなかったようです。
結婚や恋愛にも努力が必要な時代
世間では、非婚化や晩婚化がメディアをにぎわせています。50歳時点での未婚率を生涯未婚率と言いますが、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「人口統計資料集(2013)」によると、2010年の生涯未婚率は男性20.14%、女性10.61%でした。50歳時点で一度も結婚したことのない男性が10人に2人、女性で10人に1人以上いるということです。また、晩婚化も進んでいます。2010年の平均初婚年齢は、男性31.18歳、女性29.69歳です(出典は同上)。ちなみに、私が生まれた1973年の平均初婚年齢は、男性26.7歳、女性24.3歳でした(厚生労働省「人口動態統計」より)。この40年間で、約4歳、後ろにシフトしたことになります。
一方で、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査」(2010年)によれば、18~34歳までの未婚者の結婚への意欲を聞いたところ、「いずれ結婚するつもり」と考えている人の割合が男性86.3%、女性89.4%でした。「一生結婚するつもりはない」とする未婚者は、わずか男性9.4%、女性6.8%。つまり、非婚化や晩婚化は進んでいるのにもかかわらず、ほとんどの未婚者は「結婚したい」と思っているのです。
昔は、結婚するのが当たり前でした。ある年齢に達すれば、両親や親族、会社の上司など、周りの誰かが背中を押してくれていました。しかし、結婚しない自由も権利が認められている現在、ここまで非婚化や晩婚化が進んでくると「結婚しなくても当たり前」になってきます。つまり、「当たり前」に生活していると、自動的に「結婚しない」選択をしている時代になったということです。
逆に、結婚したいのであれば「当たり前」に流されず、結婚するための努力が必要になったということです。
では、その努力とはいったい、どういうものなのでしょう?
結婚するためのちょっとした努力5カ条
第一は、「結婚したい」「結婚するんだ」という明確な意思を持つことです。心理学にカラーバス効果という言葉があります。これは、意識していることほど関係する情報が自分のところに舞い込んでくるようになる、集まりやすくなる、というものです。「結婚」に対する意識と意思を高めることで、情報や人も自分のところに多く舞い込んでくるようになるでしょう。第二は、結婚のメリット、デメリットについてしっかりと分析することです。「結婚すると自由な時間がなくなる」「結婚すると自由にお金を使えなくなる」「だから、結婚はやりたいことをすべてやってから」。なかなか結婚しない人たちの意識はこうです。人は、得るものよりも、失うもののほうを過大に評価します。これを損失回避性と言います。だけど、それは本当に失われるものなのでしょうか? あいまいな一般論に流されず、結婚して得られるものは何なのか、失うものは何なのか、それは本当に失われるのか、二度と取り戻せないものなのか、などについて、一度、具体的に考えてみましょう。
第三は、何歳で結婚するのか、締め切りを決めておくことです。自らの夢や目標を次々と実現できている人は、必ず、その夢や目標に日付をつけています。夢や目標に日付をつければ、この1年でやるべきことが見えてきます。今日1日でやるべきことが見えてきます。そうすれば、行動が変わります。夢や目標なんていうのは、いつの日か奇跡的に実現するなんてものではなく、それに向かっての一日一日の努力が必要なのです。
第四は、長いスパンで人生の段取りを考えることです。たとえば、仕事は続けたいけど子どもがほしいと思っている場合、25歳で産休、育休をとるのと、40歳で産休、育休をとるのと、どちらが自らのキャリアや会社に与える影響が大きいでしょう? 若いうちに結婚や出産、子育てを終え、その経験をもって、ビジネスパーソンとして脂ののる40代、50代に仕事に集中するほうが人生は充実するかもしれません。
第五は、告白する勇気を持つことです。この1年間に、あなたは何人の異性から告白されたでしょう? もし、ゼロだとしたら、おそらく1年後も、3年後もゼロの可能性が高いでしょう。急に、モテるようになるなんてことは、おそらくありません。であれば、どうするか? 告白されないのであれば自分から告白すればいいのです。もちろん、フラれるかもしれないというリスクはあります。でも、何事もリスクテークしなければ、本当に大切なものは手に入らないのです。
みなさんは、社会人として、ビジネスパーソンとして、自らの頭で考え、挑戦し、タスクやノルマをちゃんとこなし、締め切りを守り、失敗してもPDCAサイクル(Plan:行動計画、Do:行動、Check:点検評価、Action:改善処置という一連の流れ)を重ね、顧客やビジネスパートナーと良好な人間関係を形成しているはずです。その力があれば、必ず、結婚できます。仕事に取り組む姿勢で、恋愛や結婚に取り組めばよいのです。
たとえば、これから1年半後に結婚するという締め切りを設けたとして、1年間はお付き合いする時間が必要であれば、半年後までには恋人と呼べる人を作る必要があります。極端な例ですが、たとえば週1回は必ず異性を食事に誘い、告白する。ダメなら、なぜダメだったのかを考えて、修正し、また挑戦する。そんな仕事に取り組むような姿勢で、恋愛や結婚に取り組めばよいのです。
そして、なにより大切なことは、 目の前の人を喜ばせることです。相手を喜ばせるために使った時間、エネルギー、手間暇、お金は、「あなたのことが大切なんだ」というメッセージになって相手に届きます。そして、相手の喜んでくれる笑顔が自分の喜びになるでしょう。
大丈夫。仕事ができる人は、恋愛も、結婚もちゃんとできます。