動物の一般的な呼び名や学名のつけ方にはワケありのものも少なくない。ここで陸に棲むほ乳類たちの名付けの由来をとりあげよう。(「イミダス2000年版」掲載・編集)
コウモリ
翼手目(CHIROPTERA、ギリシャ語で「翼になっている手」の意)に属する。日本にもさまざまな種類が棲む。「コウモリ」の語源は、飛膜があることから「皮張(かわはり)」であるとか、蚊やブヨを捕食するので「蚊を欲(ほり)する」から「カワホリ」(貝原益軒)、川の近くに多く棲むので「川守(カワモリ)」(新井白石)など諸説がある。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
フタユビナマケモノ
学名は〔Choloepus didactylus〕。Choloepusはギリシャ語で「不自由な足」、didactylusは「指が2本」の意。英語ではSloth(怠惰、ものぐさ)。和名もこれに準じたもので、動作が非常にゆっくりしたところからつけられた。近似種ミツユビナマケモノ〔Bradypus Tridactylus〕のBradypusは、「のろまな足」の意。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ウサギ
学名は〔Lepus brachyurus〕。Lepusはラテン語で「ノウサギ」の意味。brachyurusは「尾の短い」ということ。イエウサギは〔Oryctolagus cuniculus var.domesticus〕で、これは「家畜用変種であるアナウサギ」。日本語「ウサギ」は、「薄毛(うすげ)」から転じたという。英語「ラビット」にはゴルフなどの下手な人の意味があり、反対語は「タイガー」。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
コアラ
学名は〔Phascolarctos cinereus〕。Phascolarctosは、ギリシャ語で「袋を持ったクマ」の意。cinereusは「灰色の」。「コアラ」は、オーストラリア先住民語で「水を飲まない動物」を意味し、そのまま英語となったもので、和名もこれに準ずる。毛皮をとるための乱獲にあい、主食のユーカリが減ったこともあって一時絶滅の危機にあった。
◆その他のミニ知識はこちら!【ことばの動物園】