動物の一般的な呼び名や学名のつけ方にはワケありのものも少なくない。ここで陸に棲むほ乳類たちの名付けの由来をとりあげよう。(「イミダス2000年版」掲載・編集)
リス
学名は〔Sciurus vulgaris〕。Sciurusは、ギリシャ語で「日除け」のskiaと「尾」のouraの合成されたもの。リスが日光や風雨を、尾を背中にかぶせて避けることにちなむ。vulgarisは「普通の」という意。和名「リス」の由来は、「栗鼠」(栗を好んで食うネズミ)の音読み「リッソ」が転じたもの。
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ハツカネズミ
学名は〔Mus musculus〕。Musは、「ネズミ」を意味するラテン語murisに由来。英語のmouseの語源もこれである。ちなみにRattus(英語でいうラット)は大型のネズミを指す。musculusは「小さなネズミ」の意。和名「ネズミ」の由来は、「根」すなわち暗い場所に棲むから、という説や「人が寝てから盗む」から、など諸説ある。
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カンガルー
アカカンガルーの学名は〔Macropus rufus〕。Macropusはギリシャ語で「長い足」の意。英語名(和名も)は、オーストラリア先住民の呼び名に由来し、「跳躍者」を意味する。探検家ジェームズ・クックが発見したとき、傍らの先住民に名を尋ね、「わからない(ゲグルゲル)」と答えたのを名前と聞き違えたから、というのは俗説。
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インドゾウ
学名は〔Elephas maximus〕。Elephasは「ゾウ」を示すギリシャ語。象牙のかつての交易地、スーダンのエレファンティネ島にちなむ。maximusは「最大の」の意。和名「ゾウ」は、中国語(象形文字)の訓。古くは「キサ」(牙のさし出た獣・「日本釈名」による)ともいった。インドゾウの亜種に「セイロンゾウ」がいる。
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