まあ基本的に同じEcho Foxのチームメイトなので、どの海外大会でも夫といる時間が一番長いのですが、今年は特に所属チームのスポンサーが主催するイベントへの出演や、Twitchというゲーム配信サイトでスマホを駆使して日本に現地の様子をライブ配信するなど、多くの人たちと現地の熱量を共有させてもらいました。結果として、何千人もの参加者の中から日本で人気がある選手の試合を、現地からのスマホ配信によって日本の視聴者のみなさんにライブで伝えることができました。また、現地で一緒になった海外の選手たちとのコミュニケーションや、会場の様子なども届けました。
例えば先ほど登場したアメリカの絶対王者、19歳という若手プレーヤーの〈Punk〉選手。彼はまだ来日したことがないし、日本のメディアに取り上げられることも少ないので、どんな人物なのかわかりませんでした。しかし、私と〈ももち〉がスマホで生放送をしていたら近寄ってきて、「僕の好きなプレーヤーの一人、〈ももち〉を見つけた! 一緒に写真を撮ってよ」と声をかけてくれました。
実は試合中はとても真剣な顔をしているので、怖そうな人物に見えていました。でも勝負の外ではとても穏やかで、少しシャイで、私自身も彼の印象が変わりました。「日本に行ってみたい。僕は日本が好きなので日本の女性とお付き合いしたいんだ!」ということもおどけながら話してくれ、思わぬ内面を垣間見ることで親近感がわきました。
このように選手たちの素顔を知ることも「この選手も応援したい!」という気持ちになるきっかけになりますから、自分たちの現地でのアクションを通じて「選手=人」の魅力を伝えることも大切だなぁと思いました。
神の手を持つジェンガマスター
真剣勝負の外というところでは、今年はEVOが終わった後、私が所属するチームのスポンサー企業であるハイパーエックス社(HyperX)のイベントに仕事で参加してきました。そのイベントのコンセプトは、格闘ゲームのプロたちが得意としているゲームとは違うゲームをやってみたり、普段はやらないようなプレー(例えば2人1組で一つのコントローラーを操作して戦ってみる、など)をしてみるといったオモシロ企画でした。
そこで私は今年のEVO優勝者である〈ときど〉選手とタッグを組み、対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズDX」のプロゲーマーチームと「ジェンガ」でダブルス対決をしました! ジェンガというのはアレです、木片を積み上げたタワーから積み木を1本ずつ抜いていくあのゲームです。
まさかアメリカまで来てジェンガをするとは思っていませんでしたし、ジェンガで遊ぶのは小学生の時以来だったのですが、これがまぁ大白熱!
この模様はTwitchで世界に向けてライブ配信されていたのですが、なんと1万人以上の人が私たちのジェンガ対決を観戦し、大興奮してくれていました。そして私たちのチームはみごと勝利をおさめることができ、配信中のコメントも大いに盛り上がっていただけたようでした。アメリカ人から見ると小さな私の手は「God handだ!」と話題になり、「神の手を持つジェンガマスター!」などというメッセージをもらったりもしました。
アジア競技大会の正式種目に
さて、私なりの視点で2017年のEVOなどについて書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。この格闘ゲーマーにとって世界最大規模の祭典であるEVOをはじめ、世界各地で毎年行われているゲームの大会が今後どうなっていくのか。日本ではプレーヤーが決して増えている状況ではない格闘ゲームというジャンルは、今後どうなっていくのか。いずれ機会があれば、またお伝えします。
気になることも、やらなければならないことも、考えることも、まだまだ盛りだくさんですが、私なりに海外シーンを中心としたこのeスポーツの盛り上がりについて興味を抱き、またそのシーンで生きるプロゲーマーとして、自分がどういったかかわりを続けていけるのかも含め注目していきたいと思います。
eスポーツが、日本でも海外のような盛り上がりを見せるためには、もう少し時間がかかるかもしれません。一方で、アジアオリンピック評議会がeスポーツを22年のアジア競技大会で正式種目に加えようとする動きもあり、この先どう展開していくかはわかりませんが、私は私にできることを地道にやっていければいいなと思っています。
それではまた次回。