インタビューや取材を受ける時に、「ゲーマーあるあるって何かありますか?」と質問されることがよくあるのですが、あるあるって当たり前になっているので、なかなか自分では気付かないのですよね。そんな「あるある」にちなんで今日は家庭用ゲーム機を遊ぶ環境を整えてより快適にゲームを楽しむための、ゲーマーからすると当たり前なんだけど、案外知られていないことをお伝えしたいなと思います。
知っていると得する「表示遅延」の話
みなさんは普段、PlayStation 4(PS4)やNintendo Switchなどの家庭用ゲーム機をどんなテレビにつないで遊んでますか? 実はゲーム画面を表示するディスプレーモニターの性能や種類で、ゲームの快適度ってかなり変わるんです。最近は大型液晶テレビにもゲームモードなどが実装されていて、快適に遊べるようになっているものがありますが、ディスプレーモニターを気にすることでかなり操作感が変わるので、ぜひ気にしてみてほしいです。
ゲームモードなどがないテレビと、ゲームモードが付いているテレビやゲーム用ディスプレーモニター(単にモニターとか、ゲーミングモニターと呼びます)では何が違うかといいますと、ゲーム機のコントローラーのボタンを押してから、画面に表示されているキャラクターや映像が動くまでの早さが違うんです。
「表示遅延」というものなのですが、ゲーム機から映像信号を送って、それがモニターに表示されるまでにはごくごくわずかな「遅延」が発生します。1/1000秒単位とかの話になるんですけども、この遅延が小さければ小さいほど操作は快適になります。遅延がより小さいモニターを使用すれば、敵の攻撃を避ける際に有利になりますし、自分が操作しているキャラクターとのシンクロ度合いが増しますから、ゲームへの没入感がより高まっていいプレーができるようになります。
ゲームをプレーしている時、敵の攻撃がきて、それを避けるようにコントロールボタンを押すとします。その際、プレーヤーの反応速度にゲーム機の演算処理で生じる時間とモニターの表示遅延時間を足したものが、ゲーム内での反応速度となります。ゲーム機の性能は私たちには変えられないので、このうち改善できるのはプレーヤーである自分の反応速度とモニターの表示遅延です。
ストレスのないモニターを選ぶなら
自分の反応速度はゲームをやり込んで習熟することで、限界はありますがある程度鍛えられます。ですので鍛えるのはもちろん「よし」なのですが、例えば表示遅延が0.01秒のモニターを使っている人と、表示遅延が1秒のモニターを使っている人では、両者が同じ反応速度なら前者の方が後者より0.99秒も早くキャラクターを動かすことができるんです(分かりやすく例えるために0.01や1秒という数字にしました)。
「コンマ数秒単位の差なんて、そんな影響ないでしょ」と思うかもしれませんが、その速度差を体験してみると世界が変わったほどに感じるので、騙されたと思って試してみて欲しいです。
ちょっと話がよく分からなくなってきたぜ! という方、できるだけ分かりやすい説明を試みたのですが、うまく伝わっていなかったとしたらごめんなさい。もし論より証拠を求めるなら、「表示遅延1ms以下」や「応答速度1ms以下」と性能表示されているゲーミングモニターでゲームをプレーしてみるといいですよ!
1msは「1ミリセック」とか「1ミリセカンド」と読みます。1msは1/1000秒です。価格は1万円ちょっとくらいからあるので、案外お手頃なんです。
「いやでも僕、普段テレビでゲームしてても遅延を感じたことないし、普通にプレーできてますけどねー」っておっしゃる方もいると思うのですが、それはあなたが今のその表示環境に慣れているだけなんです。試しに表示遅延が小さいモニターで同じゲームをプレーしてみると、「えっ!」ってなると思いますよ。
今まで反応できなかった対戦キャラクターの動きに反応できて強くなった! なんてことも十分あり得ます。言うなれば、表示遅延が大きいモニターを使っている人は、腕に錘(おもり)を付けてゲームをやっているようなものですからね。逆に言うと自らを過酷な状況に追い込んで、反応速度の改善トレーニングをしていることにもなりますから、あなたの限界を解き放ってみてください。
大画面ほどいいというわけでもない
ここまでディスプレーモニターの表示遅延について話をたくさんしましたが、対戦型のゲームを遊ぶ際や大会に出てみたいと思っている人は、モニター画面自体の大きさも案外重要ですよ!
というのも家庭用ゲーム機を使用する大会では、大体24インチくらいの大きさのゲーミングモニターが使用されることが多いです。何十インチもある巨大なモニターを何台も並べて選手が試合している大会って、ほとんど見たことないです。以前、大型テレビのPRを兼ねた大会とかでならありましたけど、私が見たのはそれくらいでしたね。
ゲーム大会に出場して好成績を目指すなら、大会と同じ環境を整えて練習することはとても重要です。家だと勝てるのに、大会だと緊張もするし環境が違うからなかなか勝てないんだ、という声をよく耳にします。やはり普段から大会と似た環境でプレーすることが緊張の緩和にもつながりますし、何より普段と同じ感覚でプレーした方が自分の実力を十分に発揮できる可能性が高まります。
また、これは個人的な感想かもしれませんが、ゲーム中ってモニター画面中のいろんなところに注意を払う必要があるじゃないですか。その際、あまりにモニターが大きいと目を動かさなければいけない距離が大きくなってしまいます。ですから24インチくらいが全体をぱっと見渡せる、ほどよい大きさなんだと思うんですよね。もちろんゲームによっては、大きな画面で細部まで見た方が有利になるものもあると思いますけどね。
自動車レースゲームをやっている時、24インチのモニターでプレーするより50インチくらいのモニターでやった方がより細かい操作ができるんじゃないか、だけど結局視線の移動距離は多いしなぁ……どっちなんでしょう? なんて思っています。めちゃくちゃ綺麗なグラフィックが特徴で、かつ反応速度が要求されないようなロールプレイングゲームとかはやっぱり大きな画面で、大迫力でやりたいですね。