労働者本人に代わり、退職の意向を会社に伝えるサービスのこと。退職希望者が会社側の人間と直接関わらずに、第三者が退職の意志を代理で会社側に伝達する。また、弁護士が労働契約書の確認や退職後の処理までの一切を監修し、サポートするサービスを行う場合もある。
現在、退職代行サービスを行う専門業者は、最大手と言われる「モームリ」をはじめ、全国で100社以上存在している。退職代行サービスは、2017年に退職代行会社「EXIT」の共同創業者である岡崎雄一郎が個人名義でサービスを開始したのが始まりとされる。その後、2018年にはEXITがテレビ番組に取り上げられたことで、退職代行サービスは社会的な知名度を得た。
2024年5月~2025年5月に退職した人(日本在住の20代〜50代の男女470名)を対象とした調査(「退職代行サービスに関する調査」株式会社アイディエーション)によると、退職代行サービスを実際に「利用した」人は全体の14%だった。「検討はしたが利用しなかった」が10%、「サービスは知っているが、利用していない」が60%、「サービスそのものを知らなかった」が16%となった。
年代別では20代の利用率が最も高く、特に20代男性が最多で、年代が上がるほど利用率は下がる傾向にあるという。
雇用形態は「正社員(一般職)」が76%と最も多く、在籍期間が「3カ月未満」の利用者が53%と、入社直後の早期離職での利用が目立つ結果となった。
サービスを利用した主な理由として、「退職意思を伝えた際にパワハラ/嫌がらせを受ける不安があった」が34%と最も高い。他にも、「直接会社に退職の意思を伝えることに抵抗があった」など、職場環境や人間関係のトラブルが背景にあるようだ。
また、「モームリ」を管理している株式会社アルバトロスの調査では、入社前の契約内容・労働条件と実際の業務との乖離を理由にしたサービス利用者が全体の約4割を占めたという。
退職代行サービスの需要が高まる中、企業側には、従業員との円滑なコミュニケーションをはじめ、自社の体質や制度を見直す必要が指摘されている。