ゲーセンから卒業していく人たち
仲間がどんどん増え、趣味で大会を運営し始めて、100人近くの人たちが小さなゲーセンの大会に各地から参加しに来てくれて……。とても充実したゲーセンライフを送っていたのですが、楽しい日々はいつまでも続くものではありません。
大学を卒業し、皆それぞれ地元に帰って就職したので、一緒にゲーセンに行っていた大学の仲間はバラバラになりました。私も就職して愛知県の三河地方にある岡崎市に住むようになりました。長久手のファンタジアンは車で1時間以上掛かる距離になってしまい、仕事も忙しくなかなか行けなくなりました。
大抵の人が、就職とか結婚といった環境の変化がきっかけでゲーセンから卒業していきます。私の大学の仲間たちもそうでした。地に足を付けて、しっかりと自立して生きていくために、みんな一生懸命に仕事を頑張っていました。
それに一度ゲームセンターから離れると、なかなか戻りづらくなります。なぜかというとゲーム自体が変化していくからです。最近の対戦型ゲームって、どんどんバージョンアップしていくんですよね。キャラクターの性能が変わるのはもちろん、ルールや基本的なシステムが大幅に変更されることもあります。インターネットを使って簡単にアップデートできる時代になったことで、数カ月に1回バージョンアップが入り、2〜3年で大きくゲーム性が変わることも。
なので一度離れると、ゲームの変化についていけなくなるんですよね。それに、自分が好きでやっていたゲームがなくなったりします。逆に言えば、バージョンアップがあるおかげでゲーセンから卒業していける――という人もいるんですけどね。
私はそれでも卒業できなかったので、就職した後も結局、新しく名古屋のゲーセンに居場所を見つけて通うようになり、ついには仕事の方をやめてしまいましたけれど。たまに昔の仲間たちに会って、仕事の近況とか、子どもの成長ぶりとかを聞くと、とてもうれしくなります。
ゲームのバージョンアップごとに仲間が卒業していくけれど、新しい仲間もできたりして、なんだかんだでゲーセン通いを始めて約10年。通り過ぎていく人たちを眺めていると、自分だけが立ち止まっているような感覚になりますが、今でも私を応援してくれている昔の仲間たちがいるので、まだまだ頑張らなきゃな! と、最近一人でふらっと立ち寄った秋葉原のゲーセンで思い返していました。
さてさて、今回は私がプロゲーマーになる前のゲームセンターでのお話をしてみました。ではまた!