股の付け根から会陰までつながり、他の外陰部を保護するように取り囲む、主に脂肪組織のひだ。男性の陰嚢に相当し、表面は皮膚なので陰毛が生える。
・小陰唇(しょういんしん)
大陰唇の内側にあり、粘膜で覆われている、デリケートな花びら状の対になったひだ。大きさ、左右の違い、色には個人差がある。小陰唇の黒ずみは、年齢や下着などによる摩擦、ホルモンバランスの変化が原因。
・腟前庭(ちつぜんてい)
小陰唇を広げたところに見える部分で、クリトリス側から順番に、尿が出る外尿道口と腟口がある。腟前庭のバルトリン腺は、刺激を受けると腟口を潤す粘液を分泌する。
・腟口(ちつこう)
腟の入り口。男性とセックスするときの陰茎(ペニス)の入り口で、出産では赤ちゃんの出口になり、経血やおりものが出るところ。腟口から5~10mmほど内部にあるのが「処女膜」と呼ばれる腟壁についた環状の粘膜のひだ。ひだの収縮性には個人差があり、初めて腟に陰茎などを挿入するときにひだが切れて出血する人もいれば、しない人もいる。
「処女膜と言いますが、腟の中に『膜』が張っているわけではなく、腟の入り口にあるひだのことで、中心部には穴があいています。ですから、(初めてに限らず)セックスの時に出血するのは、処女膜というひだに亀裂が入って出血するためですが、治癒力が高い場所なのですぐに血は止まります。処女膜には弾力性があって伸び縮みしますから、出産しても処女膜が残ってる人もいますし、処女膜の形や厚さも人それぞれと言えます」(早乙女先生)
・クリトリス(陰核)
男性の陰茎に相当する場所で、狭義のクリトリスは小陰唇の恥丘側の端に見える小さな突起(陰核亀頭)のこと。突起は男性の陰茎でいうところの亀頭部で、陰核包皮によって覆われている。ただし、突起として体表に出ているのはクリトリス全体のほんの一部で、陰核亀頭の根本の部分(陰核体部)から1対の脚(陰核脚部)が伸び、その下のV字状の組織(前庭球)とともに小陰唇の内側を走り、腟前壁(腟壁の腹側。背中側は腟後壁という)の下3分の1ぐらいまでの部分まで続いている。全体の大きさは5cm以上あり、感覚神経と血管が密集しており、陰茎同様に海綿体構造をもっているため、性的に興奮すると充血し勃起する。非常に敏感な部分なので強い刺激は避ける。
「男と女のからだは違うというイメージがありますが、初期の胎児はすべて女性器の型を持っています。卵子の受精後、7週目ぐらいでクリトリスが陰茎に、陰唇が陰嚢に、精巣が卵巣にと男女に分かれていきます。