加藤 アハハハハ。本当にワイルドですね!
森永 そうそう、午後3時になるとかみさんが猫におやつをあげるんですが、ミックは時間がわかるようで、2時半くらいからそわそわしだすんです。他の猫たちはかみさんが「おやつだよ~」と言うと出てくる。みんな言うこと聞かないくせにおやつのときだけは出てくるんです。なんか、猫っていうより、高崎山のサルみたいな感じです(笑)。
年を取ると猫も角が取れて丸くなる!?
加藤 森永さんが猫を飼ったのはミックが初めてですか?森永 家の中でちゃんと飼ったのはそうです。
加藤 初めて飼ったミックがそっけない猫で、次に迎え入れた3きょうだいもまたあんまりなつかないってことなんですね。
森永 そうですね。
加藤 猫たちがもっと年を取ったら変わるかもしれないですよ。猫も年を取ると角が取れる。猫は8歳過ぎたくらいから性格が変わるというのが、これまでの経験から得た私の説で、触られるのを嫌がってた猫が「まあ、いいか」と触らせてくれるようになることがある。年を取ると猫も耳が遠くなったり目が悪くなったりするので、刺激にあまり反応しなくなり、人を拒絶しなくなるようです。
森永 へぇ~、そうなんですか。初めのうちは4~5年経ったら慣れるとみんなから言われていたんですが、もう10歳と9歳ですから、無理なんじゃないでしょうかね。
加藤 猫たちはそれぞれどんな性格ですか。
森永 ジョーイはすばしっこくて、常に走り回っています。人と一番接触をもたないのもジョーイ。一番小さいのがクリスで、体の大きさもミックの半分くらいで、とてつもなく臆病なんです。かみさんには慣れているので撫でてほしくて鳴いて呼ぶくせに、そっと撫でてても少し動いただけでぴゅーっと逃げちゃう。コリーは性格はいいけど、すごくバカ。だから、私が唯一触れる猫はコリーです。ミックはとにかく私に対して攻撃的。だけど、一時期ほどではないという気がしています。
加藤 やっぱり少し角が取れて丸くなってきたんじゃないですか(笑)。
森永 すごいデブで体は丸くなりましたけどね(笑)。
最近話題の「ネコノミクス」を分析する
加藤 今、空前の猫ブームだと言われ、その経済効果は「ネコノミクス」なんて言われていますが、森永さんは経済アナリストとして、この現象をどのように分析しますか?森永 私は今の猫ブームは貧困化の象徴だと思っています。犬と猫で大きく違うのは、入手経路やコストですよね。犬の場合はお金を支払ってペットショップから購入するケースが多いけど、一方の猫は7~8割がただでもらったり拾ったりしています。それに犬のほうが育てるのにコストがかかるし、散歩をさせるなどの時間もかかる。だから、家庭の所得が減り、育てる時間もないしお金もないから、犬ほどコストがかからない猫を結果的に選ぶ人が増えてきたというのが、今回の猫ブームの背景にあると私は思います。
加藤 1980年代のバブルのころにも猫ブームと言われていましたが、あのころと今の猫ブームとではどうですか?
森永 バブルのころも豊かになったのは一部の富裕層だけで、庶民はそうでもなかったんですよ。
加藤 ああ、だから私は実感がないのか(笑)。
森永 実感がある人はほんの一握りでしょうね。あのときは家がものすごく高騰したので、庶民は犬が飼えるような家はなかなか入手できなかった。そんなこともあって、飼いやすい猫が人気だったのだと思います。
加藤 なるほど。最近では「癒し」の対象としての猫の存在にも注目が集まっていますね。
森永 そうですね。猫だけは裏切らないというところも大きいですね。
加藤 人間関係も含めた貧困の表れ、ということでしょうか。
森永 そうとも言えますかね。追い詰められたときに猫だけが救い、みたいな。
加藤 でも、森永さんのお宅では猫が救いになっていないような(笑)。
森永 アハハハハ。でも、なつかないなりに、だからかわいいってところもあるんですよ。
加藤 ツンデレだからですか?
森永 抱っこをしたいという思いはあるけれど、私はもう今の状況に慣れてしまったので、べったりいられたら、それはそれでわずらわしくなるかもしれません。
加藤 森永さんにとって猫はどんな存在ですか?
森永 猫は悪女。思うようにならないから楽しいんです。だから、なついたらつまらなくなっちゃうかもしれない。重荷に思っちゃうんじゃないかな。
加藤 重荷ですか(笑)。それ、おもしろい発想ですね。そういうふうに言った人は今までで初めてです。
森永 そうですか?
加藤 どちらかというと、みんなどっぷりはまってしまうんですよね。もっともっと猫と仲良くしたいという人のほうが多いと思いますよ。
森永 へえ~。だから、私は猫とそんなに仲良しじゃないんですけれど、楽しいですよ。ジョーイだって何カ月かに一度は、撫でることができるし(笑)。