猫嫌いの父もコロッと猫に魅了された
加藤 部屋の中、猫グッズがいっぱいですね。假屋崎 皆さん、私が猫好きだと知っているから、いろいろくださるんです。それに、国内でも海外でも猫に関わるものを見つけると自分でもつい買っちゃうんですよね。アンティークのものも好きでよく買いました。
加藤 猫グッズはどうしても増えていきますよね。うちにもたくさんあります。
假屋崎 だから、もうなるべく増やさないようにしています(笑)。
加藤 こういうグッズって、どうして犬より猫のほうが多いんでしょうかね?
假屋崎 犬は向こうからまとわりついてくるけど、猫はマイペースでオイデって呼んでもほとんど来ない。なのに急にじゃれついてくることもあって、猫はどちらかというと静、犬は動ですよね。だから、やっぱり猫のほうが犬よりも見ているだけで癒やされるというのがあるんじゃないかしら。
加藤 「眺める」という点で、犬よりも猫なのかもしれませんね。写真集は猫のほうが圧倒的に多いですもんね。ところで、本物の猫たちはどちらに?
假屋崎 14歳になる茶トラの『プリ』と三毛の『リラ』の2匹なんですが、今は3階の猫専用の部屋にいます。実は、うちには犬も3匹いて、犬のほうが後から来たんですが、猫たちが怖がるので一緒にできないのです。だから、1階は犬、3階は猫と分けているんです。
加藤 そういえば、先ほど犬の声がしていましたね。今日は猫談義なので、猫のお話が中心になりますが、假屋崎さんはいつ頃から猫と暮らし始めたんですか?
假屋崎 プリとリラとは14年ですが、両親が健在だった頃にも家族で猫を飼っていました。まだ私が学生でしたからもう30年以上前ですが、所沢に一家で引っ越した当日に、裏の林から子猫がふらっと現れたんです。とりあえず、台所にあったかつお節を少しあげたら、それをひとしきり食べていなくなったのですが、次の日から3日間、まったく同じ時間にやって来るようになって。「もう3日間通ったからうちのコになる?」って聞いたら「にゃあ」って返事をしたので、うちの猫になりました。それが先代の『ビー』です。シャム猫と日本猫のミックスのような感じ。目がブルーで、凜としていました。
加藤 確かに30年以上前だと、雑種猫はシャム猫の血が混ざっているのがとてもたくさんいましたね。その頃はシャム猫は洋猫の典型で、流行していましたが放し飼いだったから、外を出歩いてあちらこちらで自由恋愛したんです。
假屋崎 やっぱりそうですか。その猫は父が毎朝出勤するときに玄関でお見送りをして、帰ってくるときにもまた同じポースでお出迎えするんです。父の帰宅時間はまちまちだったのに、なんででしょうかね。猫の行動を見て、「あ、そろそろお父さん帰ってくる」ってわかったんです。
加藤 猫は私たちには聞こえない超音波も聞き分けているので、帰ってくることが音でわかるんです。猫の聴力は犬以上。だから、遠くの足音にもいち早く気づき、「あ、お父さんだ!」とわかったんでしょうね。
假屋崎 そうですか。それで、猫はあまり好きじゃないと言っていた父が、コロッと猫好きになりました。ビーは14歳で天寿を全うしましたが、その間に父が59歳の若さで亡くなり、その10年後に母も亡くなりました。そして、母が亡くなって1年後の同じ日にビーも体調を崩して亡くなったんです。母がいなくなった後、私と妹の側にずっといてくれたけど、1年経ってもう大丈夫だろうということで逝ってしまったのかなとも思っています。それがあまりにも悲しすぎて、それ以降ずっと猫を飼えなかったんです。でも、14年前に縁あってプリとリラがやって来ました。
猫2匹、犬3匹の大所帯に
加藤 プリとリラとはどこで出会ったんですか?假屋崎 知り合いのお宅で猫を20匹飼っていて、その家の前に心ない人が5匹の子猫を段ボール箱に入れて置き去りにしたんです。さすがに25匹は無理なので、引き取ってくれないかと電話がかかってきて。とにかく見るだけでも、というので、なんとなく見に行ったら、2匹の子猫と目が合ってしまい、かわいらしくてもう連れて帰るしかないと思いました。まんまとはめられてしまいました(笑)。
加藤 ありますよね、そういうの。でも、どうして2匹引き取ろうと思ったんですか?
假屋崎 1匹だけだと寂しいのかなと思って。1匹よりも2匹のほうが飼いやすいと猫の本にも書いてあったので、せっかくなら姉妹でと思ったんです。
加藤 2匹のほうが飼いやすいというのは正解ですね。うちの猫も2匹です。そして、こちらには犬も3匹いるってことですが、なんで犬も増えちゃったんですか。
假屋崎 私の同居人が犬好きなんです。ある日突然、「今夜、犬が来るよ」と言われて、やって来たのがフレンチブルドッグの『ハンス』です。動物愛護センターで殺処分される寸前だったところを保護されたんです。引き取ったときはすでに3歳くらいで、今は7歳。この4年間で、腰のヘルニアの手術をしたり、タマネギを丸ごと食べてタマネギ中毒になったり、異物を飲み込んで手術をしたり、何度も生死をさまよいましたが、なんとか元気です。その後やってきたのが、トイ・プードルと狆(ちん)のミックスの『ルル』で今2歳。ペットショップの売れ残りを保護しました。最後に来たのは、ブリーダーさんにすすめられたチワワの『ロイ』でまだ1歳です。私は犬も好きなので、犬は猫とはまた違う魅力があって楽しいんですが。
加藤 猫たちが犬を怖がるということですが、どんな反応なんですか?
假屋崎 プリとリラにハンスを会わせたら、ハンスは仲良くなりたくて近づいていったんですが、でかいしワンワン吠えるので、初めて見る犬という生きものにプリとリラはものすごく驚いて、逃げようとして必死にカーテンによじ登り、爪が引っかかって血が出るくらいパニックになってしまったんです。
加藤 それは相当怖かったんだと思いますよ。
假屋崎 ですよね。なので、猫たちのためにも3階の部屋に移したんです。