新しい外交パイプの構築
ワシントンの「知日派」と言われる人たちが、「鳩山的」なものをこき下ろし、冷たい扱いをしているのをこれまで見てきた。しかし、今回の訪米では、現在の日本の外交姿勢について具体的な問題点を指摘しながら、改善の方向性を議論していくことで、「再度日本でリベラルが政権を取った時には、二度とあのようなことにならないように」とアドバイスをくれる人たちも多かった。
「日本とアメリカの在り方を考える」
残念ながら、現在「日米関係」は、日本という国の在り方そのものを考える時の最重要事項でもある。私は、鳩山政権発足時にワシントンに在住していた。日米外交は一部の特定の人々の声に占拠されており、彼ら以外の声、例えば沖縄や福島の声が現在の外交パイプではワシントンに運ばれないことを実感して、日本とアメリカの人々をつなぐ活動を始め、それを今まで続けてきた。
鳩山政権は理念を全く実現に移せなかった。その失敗は大いに批判されて良い。しかし、退陣から8年近くも経過した今、鳩山政権に対する批判は、今後、日本の在り方を転換しようとする際に、経験として生かされるような、将来につながる有益なものにしていかなければならない。
特に、「アメリカとの関係は今のままでは良くない」と少しでも考える人ならば、そろそろ、新しい外交がどうあるべきか、具体的に語り始めなければならない。そうでなければ、いつまで経っても強硬な外交姿勢に終始する安倍政権のオルタナティブは実現しないであろう。
アメリカでは、前回の大統領選挙を争ったバーニー・サンダース陣営などの新しい動きが社会的に認知され始めている。今回の訪米では、サンダース氏本人やサンダース陣営の次期大統領候補とされるエリザベス・ウォーレン上院議員との会談も実現した。私は、日本でいつの日か再び実現するであろうリベラル政権への交代に備え、今の時点から、アメリカと日本の外交パイプを太く多様性のあるものに変えられるよう努力を続けていきたい。
折しも、鳩山訪米に続く週に、私は、引き続きアメリカで立憲民主党結党後初の同党議員によるワシントン訪問をサポートする機会を得た。民主党時代のやり方を改善しながら、立憲民主党は新しいアメリカとのパイプを構築しようと一歩を踏み出し始めている。この立憲民主党のアメリカ訪問の詳細は別の機会に譲るが、現在の保守的な日米外交パイプのオルタナティブを、具体的に作ろうとする取り組みは既に始まっている。