少なくない年輩男性が自分の思いを言語化するのが下手なのって、仕事以外で話す人が接客業の人ばかりだからではないか、と。そうであれば、相手はプロ。客なのだから、不機嫌になっても常に忖度し、うまくおだててくれたうえ、先回りして気配りしてくれたりするだろう。が、それは金を払っているからなのだ。普段から「接客業並みのサービス」をその辺の人に求めてはいけない。客でないオッサンに世間は冷たい。ただ、その事実があるだけだ。
さて、前述した『生き抜くための恋愛相談』には、「便利だから不機嫌になる」男性について、以下のような記述がある。
「不機嫌になれば要望が通るし、プライドが保てるし、相手が自分に合わせてくれる。そのため問題と向き合わずに済み、体裁を取り繕うためのコストもかからない――。そういう都合のいいことを経験的に知っているため、『なんかムカつく』『なんか不満』『なんかイライラする』といった“言語化できないネガティブな感情”に陥ったとき、男性は不機嫌になるという便利な手段を多用するのです。これは赤ちゃんが、お腹が空いたときやおむつが汚れているときに泣いて訴えるのと似ています」
そうか、赤ちゃんだったのか。だから「ママ」が必要だったのか。
一部の年輩男性が「ママ」を必要とする一方で、この国では低賃金などの理由から「若者の酒離れ」が進んでいる。特にチャージなどを取られるスナックなんかは敷居が高いだろう。お金がなくて酒離れというのは寂しいことだが、「飲みニケーション」から解放された若い世代がどんな感覚を身につけていくのか。そこは楽しみなところでもある。
次回は8月1日(水)の予定です。