「今の友好ムードの中でも、中国はだめだとか、沖縄の人はよく言うんですけど、むしろ沖縄は、昔から中国と一つの文化をお互いに共有してきた歴史がありますから、中国の国民に対して、日本国民、沖縄県民、琉球人としては、僕は愛するものがあると思っているんです。僕は空手をやっているんですけど、それもまた中国から入ってきた文化です。空手の型の名前は、多くが中国の武術家の名前に由来するといわれています。クーシャンクーとか、ワンシューとか。中国のこの人に教わったからと、尊敬の意味でつけたんです。そういう例がいくらでもある」
こういう話をしながらもバーガーショップの隣席にいるのが、中国人であることを意識して言葉を選んでいる。
歴史と現場を知る。だからこそ、尖閣海域での脅威には警鐘を鳴らすが、中国が沖縄を攻めてくるという言説は一笑にふす。
「そうなったら戦争じゃないですか。ありえませんよ」
仲間の本意を知ってか知らずか、尖閣上陸を続けることで耳目は集まり、そのことで利用されたこともある。講演に招かれた団体で「仲間先生のために船を買おう」という募金の呼びかけがあった。カネは集まったようだが、一銭も仲間のもとには払われなかったという。
「尖閣諸島を守る会」は慢性的な資金難にある。それでも愚直に尖閣諸島を目指す。次は年内に上陸することを宣言している。
尖閣諸島
南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島(黄尾しょ)、大正島(赤尾しょ)、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬からなる島々の総称。総面積6.3平方キロメートル。