人権を担当する国連の第三委員会で欧米ならびに中東各国が再三再四、ロヒンギャに対するジェノサイドを問題視し、ミャンマー政府に迫害を止めるように勧告しているにもかかわらず、日本政府が一貫して無視しているのは、中国政府同様にこのミャンマー利権に固執しているからだと言われている。
在ミャンマー日本大使の丸山市郎大使は昨年「ミャンマー軍は大量虐殺に関与していない」と発言しただけではなく、こともあろうにロヒンギャを「ベンガル人」と言い放った。これは、「ロヒンギャはインドからやってきた違法移民」というプロパガンダの元に迫害を繰り返すミャンマー政府の主張をそのまま代弁しており、軍事独裁に対する矜持なき最大限の諂(へつら)いである。と同時にロヒンギャをさらなる窮地に追い込む度し難い差別煽動発言でもある。ミャンマー西部ラカイン州に19世紀からロヒンギャが定住していた事実は、すでに明らかにされている。フェイクニュースの拡散と歴史修正に、日本の大使が加担しいわば官製のヘイトスピーチを撒き散らしたことを意味する。丸山大使がこれを撤回し、謝罪しない限り、何年かのち、ロヒンギャ迫害の真実が明るみに出たとき、未来永劫、日本外交の汚点としてその名前は語り継がれていくことだろう。ロヒンギャの悲劇については、河野太郎防衛大臣も笹川陽平ミャンマー国民和解日本政府代表もラカイン州の現場を視察しているにもかかわらず、見て見ぬふり、沈黙を続けている。日本政府はロヒンギャを見殺しにし続けるつもりなのか。