*「この国で、「女子」でいることはかなりしんどい。その2」 からの続き
フェミニズムとか、ジェンダーとか、女子に向けられる「呪いの言葉」とかについて3人で話してみた! 最後は、読者+会場の参加者とのやりとりです。
雨宮処凛さんの著書『「女子」という呪い』の刊行を記念して行われたトークセッション(2018年5月22日に実施。@神楽坂モノガタリ)。漫画家・ライターとして活躍する田房永子さん、作家・ラブピースクラブ代表の北原みのりさんをゲストにお迎えした。昨今のいろいろなセクハラ、#MeToo問題をテーマに話は盛り上がり、会場はヒートアップ! その1、その2に引き続き、最終回です。
読者から募集した女性に向けられる「呪いの言葉」について
――この『「女子」という呪い』を出版するにあたって、女性に向けられる「呪いの言葉」をSNS上で募集したのですが、ここで少しご紹介します。雨宮さんからお願いします。
雨宮 まず、「女は男より成功するな」、「女が勉強できても何にもならない」。次は「主婦はどうせヒマだろう」。
北原 「どうせ」っていうのがムカつくよね。だから何って感じ。
雨宮 「泣けば許してもらえると、甘えてる」と言われる。
北原 だって、男たちは許しちゃうじゃん! 女の子が泣いてるとすぐ許すじゃん! 可愛いとか言うし。
雨宮 甘えてるのは、そっちだよって。
(自分の気持ちの)言語化ができない男性って、一方的に不機嫌になって、俺らを忖度しろ、という空気を出すじゃないですか! そんなふうにすぐ不機嫌になれるってすごいなと思います。女性はどこでも不機嫌になって、「俺様が不機嫌な理由をおまえら忖度して何とかしろ」という空気を出したりはしない。
北原 感情を女に預けるんだよね。でも、こういう呪いに、お二人もかかってますか?
田房 かかってますよ。
雨宮 かかってる。まんべんなく。だって、日本で普通に生きてれば、スイスの人におかしいって指摘されても、一瞬何がおかしいのかなってわからなくなるぐらいですもん。
田房 突然ぶつかられてもね、急いでるのかなって、思っておこうとする。
北原 怒っちゃいけないとか、そういう気持ちって、すごくよくあると思います。
雨宮 オッサンって、道を聞くのも命令口調だったりするじゃないですか。「ここどこ? これ、どうやって行くんだ?」とか。「すいません、これはどこにあるか教えてもらえますか」――普通、女性だったらこう言いますよね。でも、そういう命令口調に対して、敬語を使って教えちゃうんですよ、条件反射で。なんでだろう? もっと同じテンションで言い返せばいいのに、なぜかできない。
田房 事務のバイトをしてた時、30人くらいいる男性職員全員の飲み物の好みを覚えていて、誰々は砂糖何個だ、この人はコーヒーじゃなくて日本茶だとか細かく覚えて、その通りにお茶をいれて全員に配っちゃう女性がいて。その人がそんなふうにやると、私たちもやらなくてはならなくなる、って他のバイトの女の人たちからは嫌がられていた。
その人は、やりたいからやっている。そう思って、ほっとけばいいのに、なぜかこっちの罪悪感を刺激されてしまう。自分が女として劣っているみたいな感じ。能力がない人って思われたくないみたいな。
北原 そんなふうに男によって女同士が分断されてしまうような感じも、呪いなんですよ。
参加者の「呪い」の悩みに、3人で答える
雨宮 次の(SNS上で募集した)「呪いの言葉」は――「早くいい人見つけて子ども産んでね」。まあこれもあるでしょうね、地域は関係なく。でも、田舎の方が、ちょっと発生率が高い気がするな。
田房 こういうの、言われたら、もうウワーッとか、暴れていいんじゃないですかね。
雨宮 「痴漢されたと言うと、自慢と取られる」、これもよくありますね。
田房 こういう人とはもう会わないようにする。
北原 そうそう。
――では、会場の皆さんから書いていただいた「呪いの言葉」を読みます。「セクハラ被害を受けた職場の後輩が女の上司に相談したら、そういうことをされるのは、若いうちだけ。されているうちが花だ」と言われた。
雨宮 すごい。20年前の話じゃなくてね、21世紀ですもんね。