第三極も要警戒ですが、さしあたり、最も唖然とするのが自民党の安倍晋三総裁の言動です。彼の口から、とんでもない政策構想が飛び出しました。さすがに、後になってトーンダウンを強いられましたが、そもそも、あのようなことを考えていたとは。それ自体に愕然とするばかりです。
日本銀行に国債を買わせる。日銀法を改正してでも、断固、買わせる。インフレターゲット政策を導入させる。目標となる物価上昇率は自分が決める。うわずった調子の弁舌がとても空恐ろしくみえました。
白川方明日銀総裁が、とても控えめなトーンではありましたが、直ちに反論に出たのは、全く正しい行動でした。せめて、あれくらいのことは言わないと。
そこらの三流独裁国家じゃああるまいし。あのようなことを政治家が無定見に口走ってはいけません。野党なのだから、何を言ってもいいではないか。そんな風に思っているのかもしれません。そういう考え方もあるでしょう。
確かに、後先をあれこれ考えて、野党の舌鋒が鈍ったのでは、政策論議に発展性が出て来ません。鋭い批判精神は、野党たるものの最も大切な武器ですし、それをしっかり活用することは、野党たるものの責務でもあります。
それはそうですが、自民党は、いやしくも一応最大野党です。そこらの泡沫政党ではありません。彼らは、与党に勝るとも劣らぬ責任政党の位置につけているのです。それに相応しい品位と知性を持ち合わせていなければいけません。思い込みや、思いつきや、癇癪や、高慢さに基づいて物を言うことは許されないのです。
この際、何でもありだ。言ったもの勝ち。やったもの勝ち。叫んだもの勝ち。
突然、目前に迫って来た総選挙は、どうも、そんな雰囲気の中で戦われていくことになりそうです。政治家たちの精神状態は、相当にまずい形で躁化していると思います。
そこで重要なのが、我々有権者が彼らが醸し出す雰囲気に呑みこまれていかないことだと思います。メディアも、選挙結果がもう既定の事実であるかのごとく報道したり、論じたりするからいけませんね。これにも、惑わされてはだめです。冷めた目、冷静な目、賢い目をもって、政治家たちの立ち居振る舞いをみつめて行きましょう。
彼らは今のことしか考えていません。我々は民主主義の未来に思いを馳せましょう。彼らに我々をみくびらせてなるものか。