カタカナ語が多い園芸植物の名前も語源をたどれば覚えやすくなるだろう。(「イミダス1999年版」掲載・編集。参考:中村浩著『園芸植物名の由来』東京書籍)
ポインセチア(poinsettia)
クリスマスの観葉植物として欠かせない、メキシコ原産のトウダイグサ科の常緑低木。ポインセチアという名は、発見者のメキシコ駐在アメリカ公使、ポインセットを記念したもの。1838年ヨーロッパにもたらされ、日本には明治半ばに渡来。花のように見えるのは苞葉(ほうよう)で、鮮やかな真紅のほかに黄色や白を呈する品種がある。
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マリーゴールド(marigold)
マリア(Marie)と(gold)を組み合わせた名で「処女マリアの金色の花」という意味。アフリカン(学名タゲテス・エレクタ〔Tagetes erecta〕)とフレンチ(学名タゲテス・パトゥーラ〔Tagetes patula〕)の2系統あり、共にメキシコ原産。タゲテスはローマ神話の半神半人ターゲスにちなみ、エレクタは「直立する」、パトゥーラは「開出する」という意味。
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ムスカリ(muscari)
ヒヤシンスに近縁のユリ科の園芸品種の一つ。麝香(じゃこう、ムスク、musk)にちなむ名で、麝香のような芳香を発するものがこの属の植物の中にあることによる。紫色の鐘状の花を数多く垂れ下げるムスカリ・アルメニアクム(アルメニア産の)、白い花を房状につけるムスカリ・ボトリオイデス(房状の)などが園芸品の代表格。
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ラナンキュラス(ranunculus)
アネモネの近縁の植物で、花弁のように見えるのはガク。学名ラヌンクルス・アジアティクス〔Ranunculus asiaticus〕。ラヌンクルスはラテン語でカエルをいうラナから発し、アジア原産のという断り書きがついた。カエルが住む湿地帯に生え、北半球に広く分布。花の色は赤、黄、白などがあり、さまざまな品種が作られている。
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ルドベキア(Rudbeckia)
黄色の花のイエロー・デイジー(yellow daisy)のこと。学名はルドベキア・ヒルタ〔Rudbeckia hirta〕。スウェーデンの植物学者ルドベックにちなんだルドベキアが、そのまま園芸種の名前になっている。ヒルタは短い剛毛があることを示している。ほかに、「2色」の意味を表すルドベキア・ビカラー〔Rudbeckia bicolor〕という種もある。
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