しかし何だろうこの不健康な白い腕は。海が似合わない。情けない。腕まくりして日焼けする気持ちで駅まで戻った。
宿に自転車を返し、電車の時間まで松阪大映に行くことにした。色気のある成人映画館。1本見ることができた。どんな映画だったかまったく思い出すことができない。ただ、成人映画館と旅は相性が良い。うだつのあがらない男女、トホホな展開。どこか人生に似ている味わい。何とも言えない軽さがありがたいのかもしれない。
成人映画館を出ると、なぜか清々しい気持ちになることが多い。松阪ともお別れか。最後にこの前来た時にめちゃくちゃ美味かった駅前のあんかけスパの店で締めて帰ろう。いい具合に腹も減ってるし。どういうのを食べようか。色々メニューを思い浮かべて店の前までくると、店は閉まっていた。
残念すぎる。でもこれでまたこの街に来る理由ができた。松阪競輪もあるし。でも人生は意外に短いから、行きたい、と思った時に行かないと、色々なくなってしまう。近所の店だっていつの間にかなくなってしまったのだから。
快速みえ号に乗って、帰った。車窓の夕暮れは、秋に向かい、少し色濃くなっていた。