さよなら盛岡また来るよ
宿に着くと、やけに親切なフロントの人が何社も電話をかけ、タクシーを手配してくれた。タクシーは5分ほどで来た。荷物をトランクに入れ、乗り込んだ。運転手と話す。あれは何の楽器ですか、と聞かれたので、ギターです、と答える。いいですねえ、楽器、僕もやりたかったんですよ、ピアノ。でも子供の時、そんなもんやってる暇があったら体動かせと言われてね。今でも音楽は大好きですよ。どんな歌が好きかって? スティングがいいですね。一度だけ見にいったことがあるな、昔。スティングは苦労人でね。いろんな仕事やって、また復活して。日本人? 日本人なら柳ジョージかな。
あっという間にタクシーは盛岡駅に着いてしまった。もう少し話を聞いていたかった。スティングか。CD1枚も持ってないな。帰ったら中古屋で買ってみよう。
ホームに上がると、秋田新幹線「こまち」と東北新幹線「はやぶさ」が、ちょうどドッキングするところだった。こんな鉄の塊が連結して時速300キロで走るなんて。信じられない。冬は終わろうとしていたが、ホームはまだうんと寒かった。それが心地よかった。