不利な選択をしたと事後的に分かった受験生は、それを後悔することになるでしょう。こうした事態が生じた時に、制度設計を行った側が、「自分で選んだのだから仕方がない」と受験生自身の「自己責任」として処理しようと考えているのであれば、それを私は許すことができません。受験生にそんな選択をさせる制度設計をした側にこそ、責任があると考えるからです。
私が代表を務める「入試改革を考える会」は20年8月17日、「大学入学共通テスト第2日程と特例追試験の中止を求める声明」を発表し、賛同署名を集めています。この声明では、入試の公平性と公正性を守るために、第2日程を取りやめて本試験は1回とすること、第2日程を取りやめて従来通りの追試験を行い、特例追試験も取りやめることを要求しています。9月10日に声明と賛同署名を文部科学大臣に宛てて提出し、文部科学省記者クラブで記者会見を行いました。
英語民間試験の活用、国語・数学の記述式問題、「主体性」評価という大学入試改革の3本柱は、世論からの強い批判を受け、いずれもことごとく頓挫しました(本連載第3回「学生から主体性を奪いかねない『eポートフォリオ』の闇」)。
問題点の多い入試改革が実施見送りとなったのは望ましいことです。しかし、その一方でこうした入試改革によって、今年の高校3年生が振り回されてきたことも事実です。それに加えて、今回の第1日程と第2日程、特例追試験という「共通でない」共通テストによって、公平・公正な入試を受けられない状況に置かれています。今年の高校3年生は、混乱続きの入試改革の「被害者」だと言えるでしょう。
このままでは高校3年生は公平・公正な入試を受けることができません。不公正入試の「被害者」を出さないために、私は声を上げ続けていきたいと思います。