スポットワークとは、働き手が短時間かつ単発の仕事で企業と雇用契約を結び、一時的に従事する働き方のこと。「スキマバイト」とも呼ばれる。また、類義の言葉に「ギグワーク」があるが、ギグワークは雇用契約を結ばない働き方のことで、スポットワークとは区別される。
スポットワークは、専用のスマートフォンアプリ(以下、アプリ)などを通じて、働き手と企業がマッチングする仕組みが主流だ。アプリで求人募集に応募する際、働き手は、あらかじめ本人情報を登録する必要があるが、基本的に履歴書の提出や採用面接といった手続きは必要ない。応募から雇用契約の締結、就労後の給与の受け取りまでを、アプリ上で完結する場合がほとんどである。賃金の即日払いに対応しているアプリも多い。こうした即時性や利便性が支持されて、スポットワークという働き方は急速に広まった。
アプリを提供するのは「タイミー」や「シェアフル」「LINEスキマニ」「メルカリ ハロ」といった雇用仲介サービス。内閣府が公表する2025年度の経済財政白書によれば、これらのサービスの利用者は、2024年10月時点で延べ2800万人にのぼるという。
また、パーソル総合研究所の「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」は、2024年10月時点で、スポットワークを経験した人は452万人との推計を発表した。この数字は、就業者数(約6800万人)の約7%にあたる。特に、20代の男女の利用率が1割を超えていることから、主に若い世代にスポットワークが定着していることが窺(うかが)える。
さらに、2024年12月にアプリ登録者数1000万人を突破したタイミーを運営する株式会社タイミーの「登録ワーカーの属性」調査によると、登録者の職業は、「学生」が32.6%ともっとも多く、次いで「会社員」が27.6%という結果になった(2024年12月時点)。2017年頃から「働き方改革」によって、多くの企業で正社員の副業や兼業が認められるようになったことも要因として大きいとの指摘がある。
スポットワークが広がりを見せる一方で、企業側から就業前に一方的なキャンセルを受けた、仕事の内容が事前に確認した内容と違った、交通費が支払われなかった、といった働き手に不利益をもたらすトラブルも少なくないという。株式会社タイミーやシェアフル株式会社を正会員にもつ一般社団法人スポットワーク協会が、求人情報のチェック体制の整備などを運営ガイドラインに反映するといった対応を進める中、企業側にも、労働基準法等を遵守し、労働者保護を適切に行うことが求められている。
スポットワーク
イミダス編
2025/09/26