デンマーク王国の自治領であるグリーンランドの政府。グリーンランドは世界最大の島で、面積は約218万平方kmで日本の6倍に相当する。南北の長さは2670kmで北海道から沖縄までの距離と同じで、東西は1050kmと、北海道から東京の距離と同じである。
島のほとんどは北極圏に位置し、その85%が氷床に覆われている。暖かい時期でも気温が10度を超えることがなく、冬の平均気温はマイナス10度からマイナス20度。
人口は約5万7000人で、人口密度は世界的に比較してもかなり低い。人口の9割が先住民族のイヌイットで、公用語はグリーンランド語である。首都は南部のヌークで、人口は1万7000人。グリーンランド住民の多くは福音ルーテル派のキリスト教徒である。
主な産業は漁業で、輸出品の大部分は魚介類。その約半分をエビが占める。観光業も成長している。ただし、自治政府の歳入の半分ほどがデンマーク政府からの補助金に支えられている。
1721年以降、デンマークの植民地だったが、1953年にデンマークの郡となった。1979年に自治権を与えられ、2009年には外交と安全保障などを除く自治をグリーンランドに認める自治協定が結ばれた。住民の多くはデンマークからの将来的な完全独立を望んでいることから、協定には独立を問う住民投票などの制度が規定された。
グリーンランド自治政府は4年に1度の選挙で選ばれる議会(31議席)と、首相と大臣の9人でつくられる行政府で構成される。2026年1月現在の首相は、前年4月に就任したイェンス=フレデリック・ニールセン(1991年6月生まれ)。
グリーンランドの地下には世界有数の埋蔵量といわれるレアアース(希土類。17種類の元素の総称)などの鉱物資源が眠っているが、インフラの未整備や厳しい気候条件のために、本格的な採掘はなされないままであった。しかし近年、地球温暖化の影響で海氷が溶け始めたことで北極海航路の可能性が拡大し、また島の大部分を占める氷床も急速に溶け出していることから、グリーンランドの地政学的な位置や地下資源開発に注目が集まるようになってきている。
アメリカの第二次トランプ政権は、グリーンランドをアメリカに領有させるようにデンマークに求めている。安全保障上の懸念をその理由としているが、すでにグリーンランドには1951年にデンマークとの間で結ばれた協定に基づいて米軍の軍事施設が置かれており、実際には経済権益を狙っていると見られている。
ニールセン自治政府首相は「もしアメリカかデンマークを選ばなければならないのであれば、私たちはデンマークを選ぶ」と明言している。2026年1月17日には、首都ヌークでトランプ大統領に抗議するデモが行われ、数千人が参加し、「グリーンランドは売り物ではない」などと叫んだ。