19世紀アメリカの外交政策である「モンロー主義(Monroe Doctrine)」と、トランプ米大統領の名前の「ドナルド(Donald)」を組み合わせた造語。南北アメリカ大陸とグリーンランドをアメリカの勢力圏と見なし、自国の優位と権益の確保を目指すトランプ政権の政策を指す。
保守系タブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」の2025年1月8日付記事が、トランプ大統領のグリーンランド入手への意欲に関連してこの言葉を使用したのが最初で、同年秋には主要メディアでも使われるようになった。
トランプ大統領自身は、2026年1月3日の記者会見で初めて使った。同日未明にアメリカ軍がベネズエラのカラカスで軍事行動を展開し、同国のマドゥロ大統領を拘束した際に「モンロー主義は大したものだが、我々はそれをはるかに、本当にはるかに上回っている」と自賛した上で、「人はこれをドンロー主義と呼ぶ」と述べた。翌4日には、記者たちに「(ベネズエラは)我々の領域だ」「ドンロー主義だ」と公言した。
モンロー主義とは、アメリカの第5代大統領ジェイムズ・モンローが1823年12月に発表した教書の中で主張した外交政策で、南北アメリカ大陸におけるアメリカの覇権を主張し、この地域へのヨーロッパ諸国の干渉に反対したものである。以後、アメリカの外交政策の基本となった。しかし、軍事力行使をも辞さない「こん棒外交」とも評される姿勢がラテン・アメリカ諸国から強い反発を受けるようになると、1930年代に方針を転換し、南北アメリカ諸国間の相互不干渉の原則を認めるようになった。
トランプ大統領は、2025年1月20日の就任演説で、中米パナマ共和国が所有するパナマ運河の管理権を「取り戻す」と宣言し、同年5月6日のアメリカ・カナダ首脳会談ではカナダのカーニー首相に「カナダはアメリカの51番目の州となるべき」と言い放った。これに対してカーニー首相は「カナダは売り物ではない」と反論した。
トランプ政権は、2025年12月5日に発表した国家安全保障戦略で、外部の「競争相手」の介入を排除して「西半球におけるアメリカの優位性」を確立すると掲げ、これを「モンロー主義のトランプ・コロラリー(補論)」と呼んだ。「西半球」には、南北アメリカ大陸だけでなく、グリーンランドも含まれる。「競争相手」とは、主に中国を指すと見られている。