もう何万回と言い合いをしましたから、かなりお互いのことを理解しているほうだと思います。時には互いに説教をしたり、時には謝り合ったり。大人になると、説教してくれる人(間違ったことを注意して怒ってくれる人)って全然いなくなるんですよ。
怒るのって、体力や気力を使うじゃないですか。それに怒ると相手に嫌われることもありますし。なので、大人になると他人に注意する、怒るという行為をすることが極端に減ると思います。注意し合えるのは、案外夫婦だけだったりします(たまに怒ってくれる優しい人もいますが、愛情を持って怒ってくれる人は本当に少ないです)。
二人で会社を起業し、役員をやっているということもあり、立場的にもそういう機会が減りました。だからこそ、夫婦でお互いに言い合い、お互いに間違っていないか確認することが重要になっているように感じています。皆さんも、体力を使ってまで自分のことを思って注意してくれる人は、ぜひ大切にしてみてください。ちなみに私たちは、生放送終了時に険悪なムードになっていたとしても、その後でどちらかが謝って言い合いはよい方向で終了します。なので安心してください!
2017年1月にはプロゲーミングチーム「Echo Fox(エコー・フォックス)」へ夫婦揃って移籍
始まりはストリートファイター!
二人でプロゲーマーとして歩み始めて約4年半、出会ってからは約7年で私たちは結婚しました。結婚してもうすぐ2年になりますが、私は結婚してよかったなぁと思っています。結婚する前から長年同棲を続けていたので、結婚してもあまり変わらないだろうと思っていましたが、精神面で大きな違いを感じています。
結婚するまでは、お互いが相手の方向を向いていたように思います。だから相手の小さなことが気になるし、そこはこうして欲しい、ああして欲しいという欲求が出てきて、不満も増えていたように思います。ですが「結婚する」と決めてからは、お互いが同じ目標を見るようになり、二人でその目標に向かって歩き始めたので、小さなことは気にせず支え合う関係性がより強くなりました。
それは心の安定につながり、落ち着いて毎日を生きることができるようにもなりました。結婚というものは、どんなに性格や考え方が違っていても、同じ目的や方向を向いて協力し合える関係のことを言うのだと思います。家族とは、まさにこういうものなのでしょうね。
私が〈ももち〉と結婚を決めた一番の理由は、やはり彼が「私の意志を尊重して、私のやりたいことを応援し、挑戦させてくれる人」だったからだと思います。私は「彼が嫌がるから、挑戦することを諦める」ということができない人間です。これは人から聞いた話ですが、徐々に売れ始めてきたアイドルが、仕事の当日、突然「彼氏が私の仕事を嫌がるのでこの仕事を辞めます!」とドタキャンする――なんてことは稀に起こるそうです。
せっかく軌道に乗り始めて、仕事も入るようになってきたのにどうして? と思いながら周りはドタキャンの対応に追われるそうですが、彼が好き過ぎてその決断に至れるパワーはすごいです。アイドルとして有名になることが彼女の夢だったはずなのに、それほどまでに人を愛せるというのは、すごいことだなぁと思います。でも私としては、自分の理想は「お互いに夢を応援し合える関係」かなとも思います。
彼氏や彼女が、夢を叶える姿を見たくないですか? 私は〈ももち〉が世界大会で優勝する姿が見たくて、彼のかっこいい試合が見たくて、彼を応援し、共に歩んできました。これから先も、かっこいい試合をたくさん見て感動したいです。だから私は彼を応援します。応援し続けます。そして「自分たちがゲームメーカーさんとプレーヤーさんとの架け橋となり、ゲームと人をつなげてより活気のある、よりよいゲーム業界を作る」という目標を掲げて作った私たちの会社「忍ism(シノビズム)」でも、同じ方向を向きながらみんなと頑張っていきたいと思います。会社のスタッフもみんな家族だと思っているので、家族で頑張っていきたいと思いますよ!
ゲームがつなげてくれた私と〈ももち〉の縁。ゲームがなければ、出会わなかった私たち。ゲームがあったから、危機を乗り越えられた私たち。ゲームがあったから、同じ方向を見ることができた私たち。そんな二人の始まりは、まさにストリートファイター。そんなストリートファイター・プロゲーマー夫婦は、今日も未来に向かって全力疾走しています!
それではまた次回。