親の立場からすると、アダルトコンテンツを子どもに見せないようにするにはどうしたらいいかも気になるところだ。
みさとさん「ペアレンタルコントロールやセーフサーチをつけるのもいいと思いますが、問題がふたつあって、ひとつは、厳しめに設定すると、問題がないコンテンツで子どもが見たいものがあってもはじかれてしまうんです。我が家のように、調べ物にデジタルデバイスを積極的に使わせたいという場合は、その塩梅がすごく難しい。かといって緩くすると、アダルトコンテンツがどんどん入り込んできてしまいます。キッズ向けのコンテンツに見えても、アダルトコンテンツが紛れ込んでいるということも少なくありませんし、完全に防ぐことは難しいと思います。
我が家では、わたしたちが性教育の活動をしていて、子どもたちとも日頃からアダルトコンテンツの問題も含めた性の話をしているので、少し特殊な例かもしれませんが、ペアレンタルコントロールはつけずに、広告をブロックするアプリを子どもたちが使うデバイスに入れています。ただ、これもブラウザーによっては使えなかったりするので、けっこう設定が面倒ですし、動作が不安定になったりして、完璧というわけではありません。
ふたつめの問題は、こういう制限をかけるときに、親が一方的にやっていいのかということです。大切なのは、『アダルトコンテンツに触れるのが心配だから、入れるね』と言って、子どもの同意をちゃんと取ること。子どもには、自分でいろいろなことを考えて、自分のことを決める権利があると思っています」
たかおさん「ユーザーとしてできる対策には限界があるので、アダルトコンテンツを配信する企業側がゾーニングの仕組みを作ることが必要ではないかと思います。現状では、映画でいう「R18+」(18歳未満の入場・観覧を禁止する区分)に相当するコンテンツだとしても、『18歳以上ですか?』という質問に対して『はい』とクリックすれば、子どもでも先に進めて、大量の無料サンプルが見られてしまう。ひとつの案としては、たとえば会員制にして、登録する際には本人確認、年齢確認ができるものを提示するという仕組みであれば、今の状況を変えられるのではないでしょうか」
みさとさん「成人には見る自由はあると思いますし、企業の側も、子どもにアダルトコンテンツを見せないというスタンスでいるわけですから、やはりもっとゾーニングをしっかりやってほしいということですね」
アダルトコンテンツが子どもたちが性を知る入り口になってしまうことの問題は、想像以上に深刻と言えるだろう。
前編では、親あるいは大人の立場でこの問題をどう捉えるべきかをうかがってきたが、子どもの頃からネットに親しんできたデジタルネイティブの世代は、アダルトコンテンツや玉石混淆の性情報がネットにあふれかえる現状をどう考えているのだろう。後編では彼らの声の一例を紹介する。
【「ネットのアダルトコンテンツについて考えよう(後編)~ネットで「安心安全に」性を学ぶ仕組みをどう作るか」はこちら!】
ペアレンタルコントロール
未成年に悪影響を及ぼす恐れがある性的・暴力的表現などを含むコンテンツにアクセスできないよう、子どもの情報通信機器の利用を保護者が監視・制限する取り組み。
セーフサーチ
検索エンジンでポルノや暴力などの不適切なコンテンツを非表示にする自動フィルタリング機能のこと。